自分の仕事に誇りを持てるのか。
最終的には、ここに行き着くと考えている。もちろん、法律の縛りはある。民法、商法、会社法、そして税理士法の下で、法令順守を固持しつつ、様々な業務をこなしていく。
いや、業務だけではない。守秘義務はプライベートにも縛りをかける。仕事上で知り得た秘密は、家庭でも、親しき友人相手でも、決して漏らしてはならず、三途の河を渡りきるまで抱え込まねばならない。
だが、その秘密が法秩序に反するものであったのならどうする。
正直言えば、それが人命にかかわるものでもない限り、私はあくまで秘密を守る。ただし、それが違法であることは、相手に伝えて、その後の判断は相手次第である。
忸怩たる思いをしたことは幾度かある。あるけれど、相手がその秘密を伝えてくれたのは、私を信用したからこそである。ならば、その想いに応えねばならない。
困るのは、そのことが第三者から指摘される場合だ。困るけど、私は背筋を伸ばして、毅然としてそれを受け止めねばならない。この覚悟なくして出来る仕事ではない。
だからこそ、仕事には人一倍矜持を持っている。この矜持を傷付けるものは断固として許せない。
許せないといっても、その場で殴り鰍ゥるような十代の時の馬鹿はやらない。心の奥底に仕舞いこみ、時が来るのを待って、報復すべき時は断固として決行し、その時期でないと判じたならば、能面面で何事もなかったかのように処する。
これは、別に私に限ったことではなく、誰でも似たような心理を持っていると確信している。この確信あるからこそ、多くの読者は、半沢直樹の活躍に胸をすく思いを抱くのだろうと思う。
私としては、珍しく原作の小説よりも、TVドラマを先に見てしまったので、概ねストーリーは頭に入っていたが、それを文章でどう表現しているのかが、今回良く分かって楽しかった。
まだ続編はあるようなので、じっくり楽しみたいと思います。