ヌマンタの書斎

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駅ビルに求められるもの

2020-10-09 12:56:00 | 社会・政治・一般

ターミナル駅の中に百貨店があるのが当たり前の時代は、もう終わりを迎えつつあると思う。

百貨店の業績不振が伝えられるようになって随分と経つ。もちろん百貨店側では、経営の立て直しに必死であり、努力を重ねている。しかし、結果が芳しくないのは周知の通り。

かつては、大きなターミナル駅の中にある百貨店が大きな収益を上げていた時代があった。しかし、今や駅中の百貨店でさえ撤退を余儀なくされる時代である。

これは単に百貨店側だけの問題ではないはずだ。顧客の消費動向が変ってきたことが大きく影響しているのは間違いない。かつて服飾の流行は、業界が主導するものであったはずだ。

デザイナーたちが数年後の流行を企画して生地を探し、製作、流通の下準備をして、ファッション誌などを通じて新たな流行をアピールし、その売り場が百貨店であった時代があった。

しかし、現在は違う。スマホで欲しい服を探し、メルカリなどで安く買い求め、数か月着たら転売する。プロのデザイナーたちが知らない若者層のファッション動向は、百貨店内の婦人服売り場の業績を大きく悪化させた。

対応策として、百貨店は自前で婦人服売り場を設けるのではなく、テナント貸しで有名プティックなどを導入してコスト削減を追求した。もうファッション業界主導の流行戦略は、あまり効果を出せなくなっている。

今や百貨店で元気が良いのは、地下の食品売り場である。ここには質が高い食材が売られているし、有名店のお惣菜、お菓子などが客を惹きつける。

私が先日訪れた某ターミナル駅中の百貨店は、通路を隔てて食品売り場と女性向けの化粧品、服飾売り場があるが、人で賑わっているのは圧倒的に食品売り場であった。

駅中でこれである。駅周辺の百貨店もその内情は推して知るべしである。もう駅ビルにおける百貨店の役割は終わったのかもしれない。

だが、駅ビルにはまだまだ利用価値がある。既に一部の自治体では実施されているが、市役所や図書館などの公共サービスを駅ビル内部に設置すると利便性が非常に高まる。

賃料が高い、高すぎると思う方も多いと思うが、駅からわざわざバスやタクシーで行かねばならぬ市役所が多い現状を考えて欲しい。あれは非常に不便だ。

すぐに移転しろとは云わない。だが、老朽化した市役所を立て替えるくらいならば、一層のこと駅ビル内部に移転したほうが、長い目で目ればコストは少ないはずだ。

21世紀の日本は、確実に人口が減少に転じていく。今の規模の役所を維持する必然性は徐々に逓減するはずだ。なればこそ、自前の建物よりも、賃貸で必要に応じて必要な行政サービスに見合った賃貸物件に移るほうが合理的だ。

役所が立派であらぬ時代はもう終わった。これからは、適切な行政サービスに相応しい場所として賃貸、それも駅ビル内部を考えて欲しいものです。

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