ヌマンタの書斎

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プロレスってさ スコット・ノートン

2020-10-20 12:08:00 | スポーツ

戦う冷蔵庫、そんな印象がある。

TV朝日の実況中継をしていた古館アナは、ノートンを称して「超竜」だと言っていたが、私は戦う冷蔵庫だと思っていた。頭はクール、でも体つきは頑丈な箱もの家電。

もともとは腕相撲世界一で世に知られた人である。あの逞しい上腕をみれば、それが嘘偽りでないことが一目瞭然であった。そして、あの体躯は黄色人種ではありえない四角い体つき。

ついでに言えば、白人としては短足。ただし、その足は筋肉太りで異様にぶっとい。必然、身体は堅く、格闘技者としてはいささか問題ありだと、解説の山本小鉄さんは渋い評価であった。

私なんぞ最初は客寄せパンダかと思ったぐらいにプロレスは下手だった。いや、不器用すぎたと思う。それでも見映えする体つきであり、あの迫力ある体躯で力自慢を見せられるのは、そう悪いものではなかった。なにせ迫力が半端ない。

ヘビー級のプロレスラーを軽々とリフトアップして、放り投げるだけだが、マットの上で複数回バウンドする光景は、それだけで金払う価値があったと思う。まァ受け身の上手い相手、あってこその場面ではある。

だが、このお兄さん、えらく真面目な御仁であった。自分が単なる腕相撲世界一の力持ちしか売りがないことを密かに悩んでいたらしい。オリンピックのメダリストであるブラッド・レイガンスの道場に足繁く通い、プロレスの技術を磨き、やがてトップレスラーに相応しい技量を身に着けた。

しかし、彼はアメリカのプロレスで必須であるマイク・パフォーマンスが苦手であったらしい。そのせいか、アメリカよりも日本で好んで戦っていた。パフォーマンスよりも、力と技の攻防を好む日本のプロレスが好きだったようだ。

その頃には、四角い冷蔵庫のような体つきは、次第に引き締まり、実戦向けに動きが格段と良くなっていた。元々パワーは十分すぎるほどあったので、技を覚えると始末に負えない強さである。

小柄ながら受け身の上手い日本人レスラーを高く評価していたらしく、気が付いたらノートン本人も受け身が上手くなっていた。おかげでプロレスラーとして長く活躍できた。

特に1990年代から2000年代前半までは、新日本プロレスのエース格であったと思う。ヘルナンデスと組んでのジェラシック・パワーズも印象に深い。

でも私的にベスト・バウトは、なんといってもビックバン・ベイダーとの一戦だ。巨体の二人が殴り合い、ぶつかり合い、投げ飛ばす迫力は日本人同士の試合ではどうしても不可能なド迫力。

怪獣で云えば、レッドキング対ゴモラである。あのぶっとい腕、分厚い胸、頑丈そうな首、そしてリングをきしませる巨体同士が激しくスイングする試合を観ている私は、とてもじゃないが坐ってなんていられなかった。立ち上がり、腕を振り回して応援した。

これこそ、キング・オブ・エンターテイメントであるプロレスであった。

ちなみにノートンは映画「オーバー・ザ・トップ」でS・スタローンと共演したこともある。演技者としての素質はあったのだろう。でも断言しますけど、やはりプロレスの試合こそが、彼の最も相応しい舞台であったと思いますよ。

コメント
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