初めに書いておくと、私は中曽根・元首相があまり好きではない。あの人を見下す姿勢が、どうしたって好きになれない。
しかし、首相として大きな功績があったことは認めている。この人ほど率直に日本の置かれた立場を「アメリカの不沈空母」だと表現した日本国首相はいない。
この発言を屈辱的に感じるとしたら、それは日本人として真っ当な感覚である。
おそらく中曽根も多少の差はあれども屈辱感を持っていたと思う。でも敢えてその思いを心の奥底に眠らせ、日本国首相として、日本の置かれた軍事的な立場を公にしてのけた。
このアメリカの下っ端として、またアメリカの使い走りとしての現実を堂々と認めた中曽根は、アメリカから大いに褒められたのは当然である。時の大統領であるレーガンが「ロン・ヤス」との友好関係をアピールするほどに、中曽根の発言はアメリカを喜ばせた。
この中曽根のファインプレーを、現在の日本の近隣諸国と比較してみれば、その価値がよく分かるはずだ。ちょっと経済が成長しただけで、ウリナラはアメリカと同格だと勘違いして国際舞台で迷走する醜態をさらしている有様である。
シナに至っては、アメリカとの同等以上の立場を目指して、デカい態度をとってアメリカから敵対視されている。アメリカの掌で経済成長してきた現実が見えてないのだろう。
その点、長年アメリカと対峙してきたロシアは、黙って虎視眈々と国力増強を目指す悪賢さがある。また22世紀には世界最大の人口を抱える予定のインドは、シナがアメリカと敵対しているチャンスを逃さず、しっかりと同盟を結ぶ賢さがある。
そして、その同盟には我が日本もしっかりと参加している。日本のマスコミは口を濁しているけれど、アメリカ、オーストラリア、インドと日本の同盟は、対シナ封じ込めの同盟です。実質、軍事同盟に近い存在なのです。
これはインドと良好な関係を築いた安倍・前首相の功績ですが、その入り口に至る道を切り開いたのは、中曽根首相であったと思います。アメリカの軍事的従属下にあることを堂々表明したからこそ、信頼を築けたのだと思うのです。
その中曽根の葬儀に国費9千万円余を使うことに文句を言っている馬鹿がいる。
野党だけでなく、マスコミ、文化人などがあれこれといちゃもんを付けている。この人たち、弔問外交を知らないのかな?
中曽根は世界的に名の通った政治家であったが故に、その公葬ともなれば、世界各国の外交交渉の場を提供することになる。いわば世界会議を堂々と日本で開催するに近い感覚である。
その会場費、外国からの弔問客の警備などを考えれば、9千万円は格安であることが何故に分からないのだろうか。
中曽根は、現役を退いて月日が経っているので、トップクラスの要人は来ないだろう。そのかわり実務を取り仕切る実力者が、この絶好の機会を逃さずに来日すると予想できる。
おそらく軍事、経済などの外交折衝に長けた要人を寄こしてくるだろうから、上手く機会を作れば新たな人脈を作り、懸念事項の解決の下準備などに活用できることは確かである。
一般市民と、政府要人の葬儀は別物。おかしな平等思想で馬鹿を云わないで欲しいものだ。