安かろう、悪かろうって当たっていることが多い。
昔の人は、安物買いの銭失いと云ったが、上手いことを言う。子供の頃から大の自転車好きであった私だが、この三年ほどは自転車なしで暮らしていた。
理由は歩く為である。体重増加と筋力の衰えを感じたので、古くなった自転車を廃棄して、歩くことに専念した。おかげで少しは痩せたと思っていた。ところが、今年に入り出歩く機会が激減した。そのせいで太った。
そこで軽くジョギングしてみたら、曲がる時にふらつくことに気が付いた。どうも太ももあたりの筋肉が、以前よりも細くなっているようだ。妙に思ったが、よくよく考えると、歩く時はあまり腿を上げることは少ない。
自転車に乗って都内の古本屋巡りをしていた時は、一日数時間は自転車を漕いでいたから、太ももの筋肉が衰えることはなかった。どうも歩くだけではダメなようだ。
そんな訳で、この夏に久々に自転車を購入した。安いものだと1万円以下で購入できる。だが、私は自転車に関しては安物買いはしないと決めている。自転車は構造が簡単なだけに、手を抜こうと思えばいくらでも抜ける。
私の十代の頃は数年おきに買い替えねばならぬほど、自転車を酷使したので、安いパーツが駄目なことを熟知している。高級自転車ではない普通の自転車であっても、ブレーキパーツやワイヤーなどは決して安いものは怖くて使えない。
実際、郊外によくある家電量販店の一角で売られていたシナ製の安いママチャリなんて、一年も経たずして故障が頻発しているのをこの目で見ている。よく自分で修理していたので、近所の方が相談に見えたが、ちょっと分解しただけで頼りないワイヤーに気が付いた。これじゃ、持つ訳がない。
安いのには理由があるのですよと言って、近所の家電量販店でワイヤーを買ってきてもらい、ワイヤー交換だけはしてあげた。ただしブレーキ本体はプロ(自転車屋)に任せた方が良いと助言しておいた。ここは重要部品なので、素人の私では責任負いかねるからだ。
このご時世、安いものに目が向くのは致し方ない。しかし、自転車は車両である。本来の人間が持つ速さ以上の速度で移動を可能にする道具である。自転車を十数台乗り継いだ経験からして、一万円以下の自転車は必ずどこかで原価を削って安い部品を使っている。
特に一番危ないのはフレームと溶接箇所である。安い自転車は、質の悪いフレームと下手な溶接で済ませている。これは両手離しの運転をすれば、すぐに分る。真っ直ぐに走らせるのが難しいのだ。
フレームが歪んだ自転車に乗るのは危ない。安心して自転車に乗りたいならば、最低でも15000円前後、出来たら2万円を超える程度の国産ブランド自転車に勝るものはないと、私は断固主張したいです。