ウソはいけない。
だから熊本が、熊本原産と偽ってシナやコリア産のアサリを長年販売していたことは悪いと思う。
思うけれど、そんな偽装をしていた熊本の漁民たちの思いの複雑さには、些か同情を禁じ得ない。なぜなら、アサリの漁獲量が減ったのは、経済成長最優先の日本の政策の結果であるからだ。
アサリが棲息する浅瀬を干拓したのは誰だ。浅瀬に流れ込む河川の上流で、森林を伐採して川に流れ込むはずのプランクトンを減らしたのは誰だ。アサリに限らないが、水辺に棲息する生物は野山から流れ込む河川の恵みで繁殖する。その野山を開拓して都市化すれば、水辺の水棲生物が減少するのは必然だ。
みんな黙っているけど、これは熊本だけの問題ではないはずだ。豊かな干潟を有する地域は、今の日本では稀なのが現実だ。おそらく熊本以外でも、外国産のアサリなどを輸入して、一度砂地に撒いてすぐ採取。それを地元産として出荷することをやっている可能性は高い。
さらに言うが、シナ産のアサリと、国産のアサリを食べてその違いが分かる人ってどれだけいるんだ?
もちろんウソはいけない。それは間違いないが、そんなウソを付き続けてきたがゆえに熊本の漁民たちは生活を維持できたのではないか。そうしなければ、十分な量のアサリを出荷できなかった現実を失念してもらっては困る。
今回の偽装事件は、たんに偽装が悪いと結論づけてはいけないと思いますよ。
この件に関しては消費者も知ってて買ってましたよ。
アサリもシジミも一晩日本の水に浸ければ国産だよと...
でも、今の日本の自然環境で日本人の食卓を満たせるだけのアサリは採取不可能でしょう。そのような環境を作ったのは他ならぬ日本人です。