いつのまにやら、緊急事態宣言は政府の責任回避の手段と成り下がったようである。
最初に書いておくが、如何なる政策も今回のような感染力の高いウィルス性疾患を止めることは出来ない。
医学の進歩を否定する気はないが、ウィルスもまた進化する。人間は過去も、そして未来も常に病に命を奪われることから逃げることは出来ない。
それ故に、私は当初から緊急事態宣言では、今回のコロナ禍は終息しないと確信していた。ただし意味がないとは言わない。少なくとも時間稼ぎは出来るはずだからだ。
感染の広がりを抑制して、その間に対策を実行するための時間を、緊急事態宣言が稼いでくれるはずだからだ。
だが呆れたことに、政府は本気で緊急事態宣言を国民が守れば、今回のコロナ禍は終息するはずだと思い込んでいたらしい。その政府の方針を記者クラブで拝聴していたマスコミ様も、疑いを持たずにそれを報道する有り様であった。
バッカじゃなかろうか。時間を稼げば、神様がなんとかしてくれるとでも思っていたのか?
いや、そうではない。政府は時間を稼いで、其の間にワクチン接種を進めて事態を収束させるつもりだったはずだ。それは間違いではないと思うし、それなりの実効性を持っていることは私も認めている。
しかし、これでは片手落ちなのだ。たとえワクチン接種を全国民に行ったとしても、新型コロナウィルスに感染して発病する人は必ず発生するし、その数は増える。
それでも適切な医療体制を整えれば、重篤な状態に陥る患者を大幅に減らすことは出来る。感染初期の段階で、適切な治療を施すことが死者を減らすことにつながる。
ところが昨年の第一回緊急事態宣言以降、いっこうに適切な医療体制の整備は進んでいない。その代わりに医師会は「医療の危機、崩壊」を訴えるばかりであった。
改めて確認するが、日本は世界的にみても国民一人あたりの病床数は十分確保されている医療大国である。2018年のデーターでは、病床数は164万であり、国民一千人につき13のベッドが用意され先進国でもずば抜けている。
その一方で、新型コロナのような感染症患者を受け入れる第2種感染症指定病院は351施設であり、ICU等の緊急用ベッド数は1758に留まる。その大半が国立病院等の公的医療機関である。ちなみに現在は、もう少し増やしているようだが、やはり大半が公的医療機関に限られる。
ここの医療崩壊の実体が見て取れる。
要するに、数の上では多数派である民間診療所では、新型コロナ患者の受け入れは一向に増えていない。一部の指定病院に押し付けているだけなのだ。なお、一部の篤志家による民間病院での受け入れは少数ではあるが実在している。そこに患者が過度に集中するのは拙いので、名前は挙げません。
医師会は当初、医師会会長自らが医療危機を喧伝してましたが、途中から感染症の専門家の尾木氏に任せるようになった背景がこれです。では、民間病院が後ろ向きだから悪いのか?
違います、診療所を顧問先に持つ税理士の私からすれば、民間の医療機関が新型コロナ患者の受け入れに否定的なのは当然なのです。なにせ財政的な支援がまったくない。
普通の診療所が、感染症患者を受け入れるにはハードルが多い。まず、受付を他の患者と分ける必要があるし、診察室さえ別々に設ける必要さえある。また看護師や事務員までもが受け入れに協力してくれないと、実際の医療はできません。
つまり受入には、設備投資や人員雇用を含めてかなりのお金がかかります。しかし厚生労働省及び財務省は、この点に関しては一貫して後ろ向きです。特定の病気に対してだけ特別扱いは出来ないとして、補助金はもちろん、医療点数の加算さえ認めません。
これは一年以上前から一貫して変わっていません。
入院施設の無い民間診療所でも、感染初期段階に適切な治療を施せば、病状の悪化は防げる。別に入院させずとも、自宅での安静治療で無事に治った患者も多数いるのです。
しかし、政府はこの適切な医療体制の整備をしてこなかった。あくまで緊急事態宣言とワクチン接種の拡大で済ませようとした。その結果が現在の日本なのです。
政権批判にコロナ禍を利用するしか頭にない野党はいざ知らず、おかしいのはマスコミ様です。医療には素人の私がここまで記事を書けるのは、地道に取材し実態を報じる記者の記事があるからこそです。
でも、おかしなことにそれらの記事は、扱いは小さく、代わりに記者クラブで発表される医療危機、医療体制の崩壊といった記事ばかりが大きく扱われています。
なに、これ。マスコミの役割は、政府の広報誌であることなのか?
私は場合によっては、マスコミが政府の意向に沿うことも必要だと考えています。一例を挙げれば、児童の誘拐事件など公表すると捜査に支障が出るケースです。
おそらくですが、大手のマスコミ様は、国民が危機感をもって活動を自粛するように、政府の報道に協力しているのだろうと私は邪推しています。私とて、政府の財政赤字を増やすことを推奨したいわけではない。
しかし、国民の生命の危機を救えるのに、救おうとせず、緊急事態宣言に従わぬから感染するのだと云わんばかりの政府の姿勢を認めるには抵抗があります。それに追随しているマスコミ様も含めて、私は非常に腹立たしく思っております。
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