今回のＵ２０日本代表の活躍

昨今の日本人選手の活躍が嬉しいのは私も同じ。

でもワールド杯での優勝はまだまだ当分先だと考えています。確かに選手の技量は上がっています。しかし、日本サッカーの最大の弱点が二つ残っている現実には変わりがない。

一つは報道するマスメディアの低レベルさ。日本の新聞、ＴＶでは長い間野球が主流のスポーツ報道であり、それは今も続いています。私は日本の野球が、今や世界最高レベルだと認識しており、報道もそれ相応に良いものが多い。

しかし、野球がスポーツ報道の中心であるが故の弊害もある。その弊害が特に大きいのがサッカー報道です。未だに大量得点差での勝利をありがたがる。サッカーは本来、僅差での点数差での勝利が普通であり、大量得点での試合などレベル差が明白であり、むしろマッチメイクの技量の低さを批難するべき。それなのに喜び勇んだ報道をするのだから頭が痛い。

もう一つの弱点は、監督を含めた指導者層のレベルの低さです。Ａ代表の森保監督はよくやっていると思います。でも海外の歴戦の経験を持つ監督たちに劣るのは事実です。これは致し方ないのです。森保監督自身、現役の選手時代にＷ杯での出場経験はありませんし、監督としてもＪリーグでの実績が一回あるのみ。真面目な人ですから相当に努力しているのは想像が付くのですがね。

一方、現在シナの深圳で開催されているＵ２０世代のアジア大会で、監督を任された船越監督には、相当な辛口にならざるを得ない。第一戦のタイとの試合からみているが、守備がひどい。一人一人がいくら上手くても現代サッカーは戦術で守る。その戦術が固まっていない。

更に言うなら、今回のチームは大学生主体の一軍半である。海外にいる選手は２人しか呼べなかったし、Ｊリーグからも数人であり、日本サッカー協会のやる気のなさが分かる。確かにこの大会はローカル大会ではあるが、Ｕ２０世代の世界大会の出場権がかかる。

おそらく協会幹部は、アジアの大会ならば出場権が取れるベスト４は楽勝とでも考えたのか。その結果、チーム戦術がまるで固まっていない状態での出場である。タイ戦はともかくシリア戦なんてよくぞ引き分けられたものだ。ＧＫが飛び出し過ぎに見えるが、あれはＤＦラインを信用していないがゆえの飛び出しだと思うと非難は出来ない。

さすがに選手間でも危機感を持ったようで、三戦目の韓国との試合前夜に話し合い、その結果引き分けで決勝トーナメント進出決定である。正直、韓国との試合は非常に惜しいというか、最後の土壇場で追いつかれた残念な試合であった。あれは韓国の執念を褒めるべきで、試合全般のコントロールは良かったと思う。

そして迎えたベスト４を賭けたイラン戦。先制されながらも小椋の見事なミドルシュートで追いついたまでは良い。試合全体をみても日本サッカーはイランを圧していたと思うが、フィニッシュが良くない。おかげでＰＫ戦での勝利で世界大会出場決定である。

当たり前だが、試合をするのは選手であり、監督でも日本サッカー協会でもない。でも、チーム造りの道筋を立てるのは監督を始めとしたコーチ陣であり、そのための方向性を定めるのがサッカー協会だ。

どっちも出来てねえぞ。

だいたい船越監督自体、監督としての実績はたいしたものではない。選手時代でさえプロリーグでは通用しなかったのに、下積みも不十分なままアンダー世代とはいえ代表監督やらせるな。いくらコーチ陣の経験値強化を目標にしようと、あの選択はないと思う。船越監督が少し可哀そうになるではないか。

たしかに選手のレベルは世界水準でみても相当なものだ。でもマスコミのサッカー報道のレベルの低さと、日本サッカー協会の実力不足は相変わらずだ。

一言追加すると、イラン戦での相手のオフサイド疑惑や審判の中東贔屓だが、アジアサッカー連盟（ＡＦＣ）の日本嫌いは今日昨日のことではない。トルシェやジーコ、オシム、ザッケローニたちは、試合後ＡＦＣに直接抗議して少しでも不利益を被らないよう努力していた。でも船越監督や、今回同行している日本サッカー協会のお偉方、仕事しているのか怪しい。

こんな状況下で奮闘する選手たちだからこそ、私は応援したくなるのです。