誰にだって全盛期はある。
気力、体力ともに充実し、たまり過ぎて崩れてきそうな仕事の山に負けることなく、ただただ必死で毎日を過ごす。でも振り返る余裕なんてないが、たくさんの仕事をやっつけた実績だけは残る。
やがて、年齢とともに体力気力が衰えていることを自覚せざる得なくなる。いつのまにやら周囲からはベテラン扱いされ、そうなって初めて全盛期の自分を振り返る余裕が生まれる。
同時にずる賢くもなる。全盛期の仕事は出来ないが、その作業を部下に押し付け・・・いや分担させることが出来る。慣れてくると現場は部下に任せて、自分はオフィスに居座って指図することが仕事になる。
かくして管理職が出来上がる。
だが、現場を離れた寂しさは、拭いがたく埋めがたい。やっぱり、現場に出てこそ仕事だよ。
そんな思いにかかられたのではないかと思ったのが、表題の漫画。
この作品、現在映画化されて、けっこうヒットしている。でも知らない人のほうが多いと思う。事実、私はこのアニメを知ってはいたが、見ていなかったし、まさかこれほど人気があるとも知らなかった。
この作品は、TVアニメが始まりだ。どこかで見たことのある絵柄だと思ったら、あの桂正和であった。私が大学生の頃に、週刊少年ジャンプで「ウィングマン」でデビューして一躍人気漫画家の仲間入りをした御仁である。
繊細な絵柄で、汗と根性で売るジャンプらしくない画風だと思っていた。だから、あまり好きでなかったが、その描かれる女の子が可愛らしく、そのせいで私の周囲ではけっこう人気があった。
ただ、桂氏本人はヒーロー漫画を描きたかったらしい。でも、それでは人気が出ず、敏腕編集長で知られる島鳥氏の勧めもあって、恋愛路線を大幅に取り込むことで、大いに人気を得た。
その後、「電影少女」などいくつかヒット作があるようだが、私の縄張り外の作風なので、ほとんど忘れかけていた漫画家でもある。
その桂正和がキャラクターデザインを担当し、西田氏らサンライズが作ったアニメがヒットした。桂氏本人は、そのヒットに驚きながらも、「俺はデザインしか、やっていない」とぼやいていたらしい。
漫画家として現役ではあるが、デザインだけ係ったアニメのヒットは、おそらく桂氏に忸怩たる気持ちを抱かせたのだろう。だから今さらではあるが、いきなり週刊ヤング・ジャンプ誌に、この作品を漫画として掲載する気になったのではないか。ちなみに同誌には、「ZETT MAN」を連載中である。
はっきりいって、このアニメ及び映画のヒットは、西田氏をはじめライジングプロの努力に帰されるべきものだ。放送が終わった後で、原作に忠実に漫画を掲載するなんて、ちょっとわがままだと思う。しかも連載する気はないみたいだし。
ただ気持ちは分かる。やっぱり現役漫画家としての矜持を守りたいのではないか。いくらキャラクターデザイン担当といっても、やはり漫画を描いてこそ漫画家なのだ。ましてや、桂氏は現役の漫画家なのだから、描きたい気持ちを抑えきれなかったのだろう。
まァ、映画の宣伝にもなるとも思っていたのかもしれないが、だったらアニメがヒットしていた時に描けばイイなのにね。
久々に読んだ桂正和の漫画でしたが、絵柄が上手くなっていたのに感心しました。いささかくたびれた正義のヒーロー、TIGERこと虎鉄と、期待の大型新人ヒーローながら人付き合いの悪いバーナビーのデコボコ・コンビのヒーロー物語。
暇があったらアニメも観たいと思ってしまったのは確かです。それにしても大企業(しかも実在の)のスャ塔Tーがつくヒーローとはビックリ。アイディア賞ものですね。
東京ではカフェとかタイアップ企画が目白押しと聞いています。
残念ながら、このアニメは見ておりません。と言うか、深夜枠のアニメは寄る年波に勝てず、見ることがありません。
このコミカライズとは違うかも知れませが、安彦氏のガンダムのコミカライズも反則ではないかと思うのです。
安彦氏に描かれたら誰が異を唱えられるかと…何人の同人誌作家が泣いたやら。
安彦氏のコミカライズは私も知っています。まァ、横暴というか力づくですね。