
NGC1805 「ハート星雲」 Photo by TBI氏
「タイトルの『魅力』はよしとして、『実力』とはどういうことかしら」
「星夜をウリにしている観光地のあまたある中で、われらが入笠牧場はその観測環境・条件においてはどこにも負けない、と主張しているわけでござる」
「でも天体望遠鏡もそれを収納するドームも、観測者が冷えた身体を温めるような施設もないじゃない」
「遺憾ながら・・・、まさに仰せの通りでござる。かんと氏やTBI氏のように、皆さん自前でおいでいただいておりまする」
「望遠鏡ぐらい置けばいいのに」
「確かに。そのくらいのことは誰でも考えることでござるが、ここでは話せぬ事情もござってな」
「・・・」
「それにでござる、やはり静穏な環境を維持していきたいという思いも、あるのでござるよ」
「それは大事かも知れないわ」
「牧場が先細りしていく中、この美しい星夜ももちろんでござるが、大切な自然や景観も守っていきたいと、心ある人々は願っておいでなのでござる」
「本当にここは星夜だけでなく、美しいところです。光も気も風も・・・」
「ところで、あなたさまはどちらのお方でござるかな。いささかお召し物が古いように見受けられますが」
「まだ気が付かいかしら、わたくしはカ・グ・ヤ・ヒ・メよ」
友人の平川富士男氏が訳した「詩的で超常的な調べ」(国書刊行会)を読んでいたと思ったら、窓から射し込む冬の長い日差しに誘われてつい、居眠りをしたようだ。
この本は、霊のみならず音楽に関心のある人にも、興味深く読むことができよう。原著者であるローズマリー・ブラウンは「1916年イギリス・ロンドン生まれ。1964年から1980年代末にかけて、いわゆる音楽霊媒として活動。リストやショパンをはじめとする霊界の第作曲家たちからピアノ小品を中心とするたくさんの新曲を授かっていると主張し、イギリス内外の各種メディアに取り上げられて物議をかもす(本書より)」。こういう世界にはまったくの門外漢だが、翻訳は丁寧で読みやすく、また訳注は誠実で、クラシック音楽に詳しい氏の本領が充分に発揮されていると感じた。
山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、11月17日、12月5日のブログをご覧ください。