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Photo by Ume氏
3本の古い鉄の支柱を右の肩に担ぎ、左手にもう2本を持ち、急な斜面を下りていく。初の沢の源流には湿地帯が待っていて、そこに次々と支柱を打ち込む。渓を渡ると、落葉松やダケカンバの林はさらにもっと急峻な登りとなり、滑る。この斜面には30本ほどの支柱を打ち込む予定だが、いくら抑えても同じ疑問が頭をもたげる。
沢は美しい。流れの音も気持ちを和らげてくれる。しかしこんな所にまでも牛の群れが来るのだろうかと自問する。時には声にまで出す。昨年と同じくらいの入牧頭数なら第1と第4の牧区で対応できるのではないかとの思いを抱きながら、それでもこれまで幾日か続けてきた作業をきょうもした。
誰が見ているわけでもない。誰かに指示されているわけでもない。もしそうなら、絶対にこんなことはしない、そういう類の仕事だ。何故そんなことをするかといえば、あくまでも牛たちのためであり、結果、自己満足を得て精神衛生の良薬となる。この薬は、自律神経失調気味の者に最大の報酬だと言えるだろう。
夕暮れ、小屋に戻って酒を飲みながらきょうの歩行数を見る。それが仕事に対する自己評価の全てではないが、参考にはしている。「斜面を平地のように歩くオジイ」を自称している手前、あまり活動していないと思っていても意外な数字が出れば単純に喜ぶ。そしてその歩数に導かれて一日を振り返り、去っていった時間をゆっくりとアルコールに溶かすのだ。(5月21日記)
今朝は霧が深い。好天の予兆であればいいがと眺めている。6時にUme氏に起こされた。9時前後には囲い罠の中にいる4頭の鹿を殺処分するために鉄砲撃ちが来る。そして10時ごろから100人近い撮影関係者が多数の車に分乗して上がってきて、また長い一日となる。
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昨日、露天風呂に水を張った。気になっていたボイラーはちゃんと作動したし、漏水の心配もこれで完全になくなった。撮影関係者がいようといまいと構わないが慌てることはない、入浴は夜まで待とう。(5月22日記)
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本日はこの辺で。