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青空を銀色の機体を光らせながら音もなくゆっくりと飛行機が1機、西から東へ飛んでいく。上空は湿度が低いのだろうか、飛行機雲を曳いていない。入笠の上空は東西を行き来する航空機の航路になっていて、20年も前になるが内モンゴルへ行った時に、機上から入笠山を眼下にしたことがあった。
きょうはこれから撮影料の納金のため、高遠の東部支所まで下る。こういう手間をずっと続けているが、たまには職員が集金を兼ねて下から来た方がこちらの様子が分かっていいだろうにと思う。しかしそういうふうにはならない。
こっちの手間もだが、来れば少しは牧場に対する愛着も湧き、やがてはそういう思いが良いふうに発酵することも期待できるが、いつまでも他人の牧場のようでは致し方ない。
昔はもっと職員がここにやってきたと聞いている。代表的なのは肥料撒きで、古い職員はかなりの人が経験している。その他草刈り、小屋の掃除や布団干しばかりか、職員の娯楽にも多いに使われていたらしい。当然「オレたちの、ワタシたちの牧場」という気持ちを持っていたと思う。
かつては管理人の休日には、畜産課の職員が交代で上がってきていたが、今は余程のことがない限り、入牧、中間検査、下牧の時にしかやってはこない。ただし、このことは管理人が言い出したことで、現状に不満もなければ支障もない。何か手助けが欲しい時は無理してでも快く来てくれる。
そうではあるが、かつてのような牧場への親しみ愛着を彼らに求めても難しい気がする。さてどうだろう。(9月20日記)
時代は変わる、牧場も変わる。入牧頭数が200頭を超え、長野県の三大公共牧場の一つと言われた時代は去った。今は放牧という牧場本来の姿を大分変えて、続いているような状態だ。
変わらないのは、ここの自然の美しさだろう。これだけは変わらないでいて欲しいと願っている。
そういえば、塩尻の高ボッチで開催されていた草競馬がなくなったと聞いた。あそこも元はと言えば牧場であり、わが国では最も高所で開催される草競馬の高原としても名高かった。それなりの人気を誇っただけに、寂しい話である。
主に観光用として6,7頭の牛がいたが、今はどうなっていることか。何年か前に訪れた時は、広大な土地を上手く活かせないままススキの生い茂るに任せたような風景になっていた。残念だ。
昨日石川県から来たOさんには、テイ沢、ヒルデェラ(大阿原)、入笠山頂と入笠山の周回を勧め、それなりに満足してくれて良かった。1泊して家族の待つ石川へ先程帰っていった。
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本日はこの辺で。明日は沈黙します。