この牧場のキャンプ場が取り持つ縁で、様々な人と知り合いになった。その中に伝田さんご夫婦がいた。
きょうの写真は、最近氏が手がけた3冊の本で、2作「信州の一本桜(株PUBFUN パブファンセルフ)」及び「木曽駒ケ岳の高山植物(ほうずき書籍)」は、奥さんの範子さんと二人で一本桜を求めて信州の各地を訪れ、あるいは木曽駒ケ岳の高山に分け入り、数々の桜や高山植物の姿を写真に撮り、まとめた労作である。
「山と友」は東京大学運動会スキー山岳部の百周年記念誌として出版されたもので、同大学OBの寄せた多数の興味ある原稿が含まれている。氏は同大山岳部OBとしてその編集に携わった。
伝田さん、こう呼ばせてもらう、が一本桜を求めて県内各地を訪れていたこと、またよく中アの千畳敷から宝剣や本峰である木曽(西)駒ケ岳に登っていたことは知っていた。しかし、こうして本になることまでは最近になって人づてに教えられるまで知らなかった。
先日、1年ぶり以上になるだろうか「もう顔を忘れたかも知れんけど」などと冗談を言いつつ、ここまで先述した自著である2冊の本と、酒を1升持ってやってきてくれた。
東大スキー山岳部の記念誌の方は、以前から出版計画を聞いていたのでそのことも尋ねたら、恥ずかしながら東大とは縁もゆかりもない者に、改めてまた持ってきてくれた本だ。
桜については俳句では「花」の一文字で桜を指し、かつ古(いにしえ)の歌人が「桜」とか「花」と言ったのは山桜のことだと何かで読んだ。こうして山で暮らす者としては、豪奢絢爛な花よりも、極めてつつましく、清楚可憐な山桜をまさしく「花」と決め、愛でてきた。
しかしこの本「信州の一本桜」を見ているうち、南信州や北信に疎く、かねてからそれらの地域を訪れてみたいものだと思っていただけに、柄にもなく風雅な夢を見ている。
さんざん呟いたように、草花に関してはまるで知識がない。そんな者にも、この冊子「木曽駒ケ岳の高山植物」は著者が意図したように、千畳敷から本峰に至る道すがら次々と目に触れる草花を、順序立てて写真で見ることができるようになっている。
もう、花の名前を記憶することは諦めているがこの本を手に、懐かしい人に会うようなつもりで、故郷の山である「西駒ケ岳」、地元ではこう呼ばれている、の草花たちに会いに行きたいと思っている。
最後、東大山岳部の数々の活躍には驚いた。年々大学山岳部が縮小斜陽化していく傾向にありながら、すでに成し遂げた数々の実績を措いても、今もここまで先鋭化した活動を山ばかりか、スキーでもやっていたとは知らなかった。
また将来において、有為の人材となることを約束されたような人たちが何人も、思い半ばで世を去らざるを得なかったことも知った。
この人たちも含めて、文武両道の人たちであったことに敬服くした。
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本日はこの辺で。