入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’24年「冬」(39)

2024年12月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 雪が降っている。夜は別にして昼に降るのは今冬初めてのような気がする。午前11時、外の気温は1度。このくらいだと、恐らく今に雨に代わるか止むと思うが、里はそれでよしとして、果たして上はどうだろうか。
 一昨年は12月に2度ほどそれなりの量の雪が降って、越年のため上に車で行くことを断念したのは既報の通り。とは言え、大晦日には毎年、何とか車で上がった記憶の方が多い。
 
 もう、15年くらい前になるだろうか、残留した2頭のうち、1頭は年内に降ろせたが、もう1頭は足を痛め牧内を彷徨した末に餓死した。死骸を里へ運ぶことができたのは翌年になってからで、確か7日ごろ、いや、それは死を確認した時で搬出はそれよりか後だった。
 この年は越年を上でしたかどうか、今でははっきりしないが、24日のクリスマスイヴには行って、牛を呼んで配合飼料を与えたことはよく覚えている。その後正月3日に行ったときは姿を確認できず、恐らくすでに死んでいたか動けなかったに違いない。
 7日に、徹底的に捜索するため身支度を整えて上がり、小さく、軽くなった死体を発見し、一人で道路近くまで運び降ろした。散々手を焼かされた牛だったが、その分余計に不憫な思いが強く残った。
 トラックの用意ができたのは10日だったか、その時も上がっているが、車は途中で雪にスタックし、応援にも行ったはずだ。

 炬燵の中から曇天の空を眺めていると、上で起こったいろいろな出来事が次々と思い出されて尽きない。どうやら雪は止んだようだ。
 一昨日は「拙を守って田園に帰」った人の詩の一節で終えたが、かの詩人のように「守る」のではなく、望まずも「拙」に生きるしかない18年だった。
 それでも21年前、56歳になるという前日にした決心、そのまま東京に留まらず都落ちを選んだことに関しては、悔いがなかったかと問われたら一事を省いて「ない」と答える。
 
 田舎に帰ってからは立場も、経済的な面でもやはり大きく変わった。しかし、入笠牧場と牛たち、それと周囲の自然はいつも味方でいてくれたと思う。単に故郷で暮らすというだけでは、こうまでは言えない。「あんな山の中で、それも一人で」と言う人もいたけれど「あんな山の中」の「一人」だったから良かったのだ。
 良い人たちにも出会えた。これも大きい。もちろんあなたもその一人です。
 本日はこの辺で。
 
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