入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’24年「秋」(44)      ’

2024年09月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前2時から起きている。撮影関係者の乗り込みは3時半の予定のため、もう少し眠る時間はあったが、眠る努力が面倒になりこのまま起きているつもりだ。長い一日の始まりである。
 明日の下牧に関しては、きょうはそんなことをやっている余裕がないので、昨日のうちに囲いと追い上げ坂の2か所にすでに牛たちは集めてある。
 
 昨日の5時少し前に第1牧区へ行くと、塩場の近くにいた牛たちがすぐにやってきた。そこまでは良かったが、ないと思っていた塩が塩鉢の中にまだ残っていたのに気付いた牛たちはそれに夢中になり、いくら呼びかけても誘導には応じない。根気比べが始まった。
 
 塩はいつものように5番が2鉢あるうちのひとつを独占し、もう1鉢に他の牛たちが群がった。中にはその群れに入れずお預けになる牛もいた。
 感心したのは普段は専横をほしいままにしている5番であったが、全頭が塩をなめ終わるまで近くでじっと行儀よく待っていて、その後皆を連れて近くの放牧地へと移動した。
 あの牛は小高い丘に到達したその5番であったか、しつっこく声を上げる人間が眼下の追い上げ坂へ至るゲートを開けて呼んでいるのに気付いらしい。それでようやく1頭が一目散に走ってきた。そうなればもう世話はなく、軽いstampede(集団暴走)状態となって他が追随し、その勢いのまま斜面を駆け下っていった。(9月26日)

 撮影は、歌姫をを始め皆から喜ばれ、感謝されて無事に終わった。そしてきょう27日、予定通り牛たちは里へと下りていった。
 囲いの中はがらんとして、なんとも物寂しい風景になってしまっている。これから第1牧区へも行くつもりでいるが、曇り空とそこも牛のいない広大な草原だけが役目を終えて待っているだろう。

 ビールの減るのと日の経つのは同じように早いと以前に呟いた。それに、牧場にいる牛の期間も加えなければならない。
 もう明日から牛たちのことは気にしなくてもいい。大雨に濡れて、木の下に寄り添うようにして佇む一群の牛たちに同情する必要もなくなった。脱柵と事故は絶えず付きまとう不安であり、電気牧柵の電圧や断線もまた頭から離れることはなかった。

 牛たちは囲いにいたのも、追い上げ坂にいたのもパドックに入れられ、検査を終えると縄を打たれ、トラックに乗せられて去っていった。今年はあまり暴れる牛もいなかったし、残留牛も出なかった。今頃は狭い牧舎の中で、自由に過ごせた山の上の暮らしを懐かしんでいるだろう。

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 本日はこの辺で。


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