入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「夏」(37)

2023年07月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  Photo by Ume氏

 普段は水分と言えばコーヒーが専らで、他にはアルコール飲料になるがこれは水分補給にはならないようだから、となるとあまり水分は摂らない方かも知れない。それが昨日は、冷蔵庫の中にあった何時買った物か分からないようなウーロン茶を飲んでから外に出た。
 清涼飲料水を飲むなどということは久しぶりのことだった。暑さ対策というより、やたらに喉が渇いたからだったが、後で、ここの旨い冷水を飲まなかったことを悔いた。
 
 当牧場の水は甘く、喉に沁みる。ただ、2キロくらい遠方から導水しているので水圧が強く、ストレナーが耐えられないため水量の半分しか水を濾さないようにしていて、ゴミが混ざることがある。それで生水は飲まないようにと注意をしているが、敢えて承知で飲めばまさに「甘露!」と叫びたくなる天の味。水質検査はもちろんのこと合格している。
 露天風呂もこの水を使用していて、水の冷たさゆえに沸くまでに1時間以上かかるが水質は絶品、身体は暖まり、しかもそれが長く続く。

 ここの水回りに関しては水道管が破裂したり、水量が落ちたり、一部管を取り換えるため掘削したりと、その苦労を言い出したらきりがない。繰り返さないが、充分に戦った。
 冬期でも取水できるようにしてからは、本管内の凍結を避けるため一冬流しっぱなしにしている。深い雪の下から溢れんばかりに流れ出ている清冽な水を見ると感慨もひとしおになる。もう何年も新年はあの水を若水としてきた。

 話があらぬ方へと脱線した。宣伝臭くなってしまったが、もう、このまま行く。
 今朝はまた曇天、霧が深い。炎暑とは縁のないここらしい気温に戻っている。午前中は保つようだが午後になると雨になりそうだ。
 乳牛は暑さに弱いためか、小入笠の頭の辺りに行っていて、夕方になると水を飲みに下りてくる。和牛は黒毛、角も生えていて迫力がある。にもかかわらず、警戒する男性と違い、女性の場合は母性本能のなせるわざか怖がらず、「可愛い」を連呼する。エライ。
 
 またしても訂正です。7月に行われる平澤真希さんのピアノコンサートの日付を誤って28日としましたが、正しくは29日(土曜日)でした。お詫びいたします。まだ若干余裕があるようですので、お問い合わせください。

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     ’23年「夏」(36)

2023年07月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   Photo by Ume氏

 この独り言を始めてから、3000日は優に超えているらしい。その間、主に天気、次に自然、牛、鹿について、とりとめのないことを独り言ちってきた。入笠の極めて一部を取り上げ曖昧に呟き、それを聞いた人がどういう所かを想像するに足るだけの材料を提供できたかといえば、自信はない。案内として読むには不確かであったり、説明の足りない点も多々あったと思う。
 牛のことを呟いてみても、遠くから牧歌的な風景を見ただけで満足できる大半の人には、それ以上の関心が湧かなくても当然で、後は余計な牛の落とし物のようなものだったろう。
 それにしても、地球上に生息する野生の哺乳類はたった4㌫でしかなく、人間と牛だけで全体のほぼ70㌫を占めるという数字をどのように聞き、感じただろうか。

 野生の鹿もまたしかり、怒り、苦労、被害をさんざん語っても、その生態についてはあまり伝えてはいない点は自覚している。増え続ける鹿に対する有効な手段は、避妊薬の開発だという考えは変わらないが、今に至るも話は少しも進まない。
 とにかく、話題の主役が入笠の自然と牛、準主役は鹿となるのは仕方ないと思っている。ここは標高1700㍍以上ある山の中、そこににある牧場なのだから。
 そうそう、野に働く者として、あまり頼りにならない天気予報も、結構話題にして来たが、今後もきっとそうなるだろう。

 3連休が終わり、「混雑させないキャンプ場」から人の姿が消え、また普段の牧に戻った。今朝はいつになく鳥の声がよく聞こえてくる。その中でも、いつも耳にするカッコウの鳴き声より、ウグイスの声がよくする。
 下界に帰った人々は炎暑に耐えつつ、時にはここで過ごした快適なひと時を思い出してくれることがあるだろうか。また、行ってみようと思ってくれたら有難い。
 
 なお、「混雑させない」を謳うキャンプ場も7月の29日の野外コンサート及び8月の最終の土、日曜日(26,27日)は例外的に混雑しますのでご承知おきください。
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     ’23年「夏」(35)

2023年07月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  Photo by Ume氏

 昨日里に帰り、用事を済ませると家には泊まらず、暗くなった山道をまたここへ帰ってきた。このごろは牧場のこの小屋の方が帰るべき場所になってしまい、里の家は他人のネグラのようになってしまった。
 途中、杖突街道から松倉の集落に入った辺りで闇が迫る夕空を眺めながら、梅雨もこの3連休の間に明けるかも知れないと大分薄くなった雨雲に期待した。しかし今朝目が覚めると雨の音、無情。
 それでも、信頼している「雨量・雲量」の情報からは、やがて雨は上がると読める。キャンプの予約を貰っている人たちが来るころには、少しづつ天気は回復するだろう。最低雲高も上がり、権兵衛山の電波塔は見えている。

 こんなふうに山の中で暮らしていると、世の中の動きについて入ってくる情報が大分偏ってしまうようだ。それで、実際の暮らしに何か差し障りがあるわけではないから安気と言えば安気だが、ますます関心のあることにしか目を向けなくなる。covid-19も、マイナンバーカードも、遠いとおい話だ。
 
 ここでは、里で冬ごもりをしていた時ほど本を読まない。5時ごろ外から戻り、それから夕飯の支度をし、ビールと日本酒の熱燗を呑めば心身ともにクタッてきて目も霞んでくる。とても活字を読む気にはならない。
 風呂も小屋にあるが遠慮して、たまにシャワーを使うくらいで、富士見や里に下った時に入るくらいだが、これは面白くない。
 BS放送で、ウクライナ情勢について斯界のお歴々の高邁な分析や判断、予測、解説を聞いているうちに、大体は最後まで保たず眠ってしまっている。
 
 そういえば、「心のラジオ体操」も上に来てからはすっかりご無沙汰だ。これについては恐らくそうなるだろうと予測していた。
 ここにいれば、無為なる時間は結構あるし、その反面、精神を集中することも同じようにあって、その弛緩や緊張が代用してくれているような気がする。
 確かに、普通に考えれば、こういう恵まれた自然の中の方が「体操」には向いているように思うが、多分まだ、あの陋屋の薄暗い部屋で線香の香を意識しながら身に付けた一冬の習慣から脱皮できていないのだろう。止めるつもりはない。そうでないと、野生化が進むばかりだから。

 屋根を打つ雨の音がまた強まってきた。霧は出てない。うーん、よく分からない天気だ。

 
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     ’23年「夏」(34)

2023年07月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「アレ、お前たちそんな所にいたのか。何だ、そんな目でオレを見るのは。気に入らないことでもあるのか。
 ハハァ、昨晩の狂った雨を、またしてもオレの仕業と思っているのだろう。それは違うぞ。とんでもない誤解だ。
 天気のことは気象庁が大型コンプューターを屈指し、多くの専門官が検討して出した予報でもしばしば外れる。「気象予報士」という資格制度ができたのも、予報が外れた場合の責任の一部を彼ら彼女らにも背負ってもらおうとする同庁の深謀遠慮だと邪推する人だっているほどだ。もちろんオレはそんなひねくれた見方はしないが、いずれにしても、人間サマが天気を操ることなどできるわけがない」と言ってみたとて、牛たちは相変わらず素知らぬ態度を決めたままだ。

 一昨日、小入笠までの電気牧柵の下に生えた草刈りをした。頭まで残り100㍍ほどまで登ってきて、雷の音がやたら激しくなってきたのでついに断念し、その続きを昨日やり終えることにしたのだ。空模様が怪しかったから大分思案したが、一応雨にも対応できる身支度をして出掛けた。
 山に熱中していたころも、はっきりとしない天気に同じような気分になって、狭いテントの中でイライラを募らせたものだったが、今はそれも遠い昔の話になってしまった。
 
 途中で一つだけ新しい牛の落とし物を見付け驚いた。まだこんな場所までは来っこないと思っていたが、それはこちらの見込みが外れた何よりの証拠であった。それでも、半信半疑で急登しながら作業を続けた。
 念入りに草を刈り終え、山歩きと似たいつもの充実感をしっかり味わいながら下りてきて、きょうの写真のような風景に出くわしたのだった。この辺りは歴代の牛たちが好むだけでなく、鹿も頻繁に出没する放牧地である。
 
 入牧してすぐ1ヶ月になる。もう少し元気なところや愛嬌を見せろよと、冒頭のようなかなり"差し障り"のある言葉をかけてしまった。

   鳶色の瞳の奥に何事か悪しきをひそめ我を見る牛  宮沢賢治

 またこの歌だが、詩人も似たような思いで牛をみていたのか(漢字の表記には自信なし)。
 
 雨が降っている。3連休、各地のキャンプ場はかなり混雑しているそうだ。「混雑させないキャンプ場」を売りにしているここにも、もちろん予約は入っている。
 今年の梅雨はいつ明けるのやら。こんな天気ではここは肌寒いくらいだ。

「孫のいない生活など考えられない」と言った人もいるとか。これからそういう気分を存分に味わうことでしょう。おめでとうございます。
 
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     ’23年「夏」(33)

2023年07月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 激しい雨の音で目が覚めた。午前4時に近かった。しばらく、東京のとある場所から地下鉄に乗って家に帰る方法を反芻していたが、とある場所そのものが実在しないことに気付き、ようやく現(うつつ)に還った。
 夢の中の東京ではよく迷う。それも、不思議なことに見たことも、行ったこともない街や駅ばかりである。また、近郊の山らしくもよく夢に出てくるが、この景色も街と同じく、実在する奥多摩や秩父よりもかなり理想化されていてより美しい。
 長い山の中の暮らしに起因する一種の中毒とでも解釈すれば、そうではなくアルコール中毒だろうと言われそうだ。

 雷の音がして、また一段と雨音が強まってきた。やはり、牛たちのことが気になる。
 昨日、囲いの中の餌鉢にビタミン剤、配合飼料、フスマ、塩を混ぜて持っていった。牛たちを第4牧区に移してから、囲いの中で給餌を試みるのは初めてのことだったが、いつものように警笛を鳴らし、牛たちのいそうな林の方に向かって大きな声で何度か呼んだ。しかし、反応はない。まあそんなことだろうと思って帰ってきた。
 
 しばらく小屋で電話を使って打ち合わせをしながら、ふと囲いの方に目をやったら、木立の隙間から1頭のホルスの移動する姿が見えた。そしてゾロゾロと他の牛たちが続き、たった1頭のジャージーもその群れの中にいた。
 呼ぶ声はちゃんと聞こえていたし、反応は鈍かったが、それでも分っていて来たきたのだ。こんなふうに調教の成果が出ると、やはり牛たちに対する情を新たにするし、いい気分になる。

 昨日の呟きに対して、思いがけずも赤羽さんから「座布団5枚」を頂けると。いつもの路線から少々逸脱したかと思っていましたが、許容の範囲でしたか。有難く落手しました。
 ところで、待望のお爺さんになりましたか。

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