かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

初めて経験した差し押さえ

2007-05-04 | 事例
長い事、経営の建て直しの相談に乗って居ますと、いろいろな差押えに直面します。

他界後15日、掛けていた死亡保険の差し押さえ。
税務署も違法でないと認めた譲渡債権を受け取った83歳の老婆に仮差押
年金需給まで後18日、金庫代わりの通帳残32000円の差し押さえ。80歳の老婆はどうして18日を過ごしたか。

反対に差押える方が空振りをして居る例も何件もお目にかかっています。
いろいろの差押を見てきております。

あらゆる差押えの中で、不思議と経験がないのが、店頭商品とレジの中のお金、それに借家の敷金です。
ですから、私は説明の時に、この3つに対しては「おそらくないです。」と断言して居ります。

店頭在庫は8年前に、沖縄の土産店が福岡の銀行保証会社か差押えに会ったのを見ています。
トラック2台で来ましたが、300万で引き取ってもらいました。
後にも先にも、これ1回だけです。噂も聞いて居りません。
敷金もありそうでありません。大家の承諾が必要なことと、立ち退かない限り、
差押えは出来ません。それと家賃を払わなければ敷金を充当されますから、
その時は差押えは無効になってしまいます。なかんずく、レジは何故差押がなかったか解りません。
たまには預かり金など他人のお金が有る時もあるでしょうが殆どは債務者のお金です。
勿論レジを開けないなど抵抗は出来ますが、使用人であれば、執行官に抵抗もしないでしょう。

一軒のお店が敷金を差押えられました。
大家は差押えに忠実です。立ち退きさえあれば払う意思です。
自分は近々立ち退き、近くに第2会社を作る予定でした。敷金はその費用として織り込んで居ます。
大家はこちらの言うことは聞かないでしょう。
それならば敷金分、居座る覚悟です。大家が立ち退きを迫っても受け入れません。
裁判と云ってくる頃は敷金の家賃振替期間が切れる筈です。
幸い、社員はこの敷金差押を知りません。
第2会社の協力体制です。

私は電話でこの報告を受けたときは驚きました。
事実上、差押を空振りにすることは容易い事だからです。
何故こんな差押をしたかどうしてもわかりません。
相手は銀行でもノンバンクでも有りません。一般企業でもなく、それだけに解らなかったのです。

それから日も経ない13日過ぎです。
「やられました。」と電話です。
「レジをやられました。」
今日仕入れ先に払うお金が58万入っていました。
なぜかレジは1Fと2Fに1台づつ有るのに、2Fのレジしか差押えになっていませ
ん。
これが1Fのレジですと被害も5-6万でしたが、支払いのお金を入れてある方を
やられてしまったのです。

このことは今まで私の頭にある常識を覆しました。
同じ店が半月も経たないうちに2回差押があったのです。
しかもその差押が今は無いと思っていた差押だったからです。
社長は1回目の差押え後、直ちに話しに行って、順調だと帰ってきましたが、それが逆に一人よがりだったのでしょう。

この店は差押えるもの何も無しと少し油断をしていただけにショックでした。

差押えもずいぶん変わってきています。
預貯金は何処に幾ら預けてあるか解らなくても、今後入金があれば差押えられる
差押えが普通になって居ます。
医師の診療報酬など、タブーと思っていましたが何時の間にか常連になって居ます。
その代わり、あれだけ数多くあって、差押えの代名詞見たいになっていた、家財の差押は、今は殆ど有りません。
差押えの姿は世相に合わせてどんどん変わって居ます。

敷金はまだしもレジの差押など習慣化しなければ良いと願っています。

このテナントはこれで廃業しました。レジの差押を社員が知って、もう着いて来なくなったからです。
勿論第2会社の計画も消えました。
暫くは店頭在庫を売って過ごせます。しかし半月とは持ちません。

権力はまた一人、いやその人の一家を飢え死にしそうな家庭に変えました。






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