かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

出来なかった民事再生の一例

2007-05-06 | 事例
銀行は反対しております。
「既に1度、支払額を再生案の50%に減額を認めました。その実行が1回されただけで今回また更にその50%に減額することなど、認めることは出来ません。」
民事再生手続きで決めたことが難しくなり、変更を求めております。
その債権者会議でした。
いきなりーー、そう当人には いきなりでした。裁判官の宣言がありました。
「本再生計画案は実行が不可能になりました。よって再生会社の破産を宣言します。」
簡単です。今まで再生のために頑張ってきた一つの会社が簡単に破産を宣告されたのです。

東京から70キロの地方都市、其処から更に郊外にそのレストランはありました。
高級和食を目指し、出来たばかりはまだ良かったですが次第に落ち込み、特にアルコール規制が出てから、ばったりと売上が下がりました。
現状では支払いが不能です。

何とか続けたい。店も自然食品にテーマを変えてやって行こうと云う心構えで、社員も協力を誓っています。
しかし民事再生手続きは債権者の同意を得るまでが大変でした。
個人の資産は勿論、関係ない親兄弟の不動産まで調べられました。
漸く平均して4%一寸の債務を10年で完済をで認められましたが、これには
妥協がありました。

リースです。リース会社が3社、どうしても同意しません。
そこで皆は「リース債権は共益債権と認め、共益債権は今後随意に払う。」と決めたのです。言い換えれば、リースは今まで通りの支払いでよいよ。決めたのです。

リースと云っても、半分以上は造作ではないか。こんな物は再リースも出来ないし、必ず妥協すると、誰もが思っていました。が、一方では厨房器具とエアコンもリースのリース会社に負けたのです。
引き上げられれば続きません。債務者だけでなく、他の債権者も認めざるを得ませんでした。
リースの支払い残高は約9000万、その他の債権は減額後2600万、この両方を今後
10年間で払います。
支払いは半年に1回です。

普通にやっても、利益を上げることは難しいです。
月100万の返済の利益が出る筈がありません。
リースの支払いが堪えます。
しかし彼らは一寸でも怠ると真剣に引き上げを考えています。冷蔵庫・レンジ・調理台など4-5点の引き上げで完全に店は潰れます。今は中古品の通りが良いらしいです。
自然食品と言っても、田舎の此処では売り物になりません。

1回目は何とかクリアしました。
しかし2回目は払えません。一般債権は50%を直ぐに飲んでくれました。
リースは承知せず、半年毎の次の支払いまで、分割を認めてくれたのです。
しかし3回目はどうにもならなくなりました。
リースも承諾させないとなりません。
更に半額を皆さんに諮ったのです。
それが今回の会議でした。
リースより先に銀行から異議を生じました。

裁判所から破産を宣告されると、あれだけ協力を誓った従業員の態度が一変しました。
店はまだ競売にはなりませんが人で不足で営業も出来ません。
粘りに粘った店も終に閉店でした。
民事再生が認可されてから1年半、一体何をしていたのでしょうか。

民事再生法、鳴り物入りで世に生まれた法律です。
瀕死の中小企業を救う法律として持て囃されました。
成功率はどの位か知りません。この法律のおかげで今は立派に再生されて隆々とやって居る会社は何軒も知っています。
しかし逆に失敗している例も何件も知っています。これらは何れも直ちに破産となって居ます。

中小企業相手の商売です。
債権者は自分の債権残はシビアですが、肝心の再生企業の本業を知りません。
本業を知り抜いているのは債務者しか居ません。
仕入先も社員も銀行も弁護士も知っているようで知らないのです。
其処に中小企業の落とし穴があったと思います。

「人の意見なんていらない、自分だけで責任を持って決めればよい。」
監督者や管理者の居ない、自分が責任を持つ任意の第2会社の方が遥かに成功率が高いのではないでしょうか。

再生
難しいことです。
しかし多くの人がこれに取り組んでいます。






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