かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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神か魔物かビジネスローン

2007-05-12 | 事例
「決算書の数字と将来の業績を担保としてお金を貸せる。」
銀行のビジネスローンのうたい文句です。保証人も社長一人です。

担保不必要。第3者保証も不要。それで居て何千万かが即決に近い形で、直ぐに手に入ります。今までの「借りる手数」から考えると夢のようです。
第一、今時、「貸してくれる魅力」が堪りません。

借りる方も、確実に返済できるお金ならば幾ら借りても構いません。
しかし長引く不景気のために、赤字補填や、他に返済するために借りる人も少なく有りません。
簡単に多額のお金が借りられる、困っている時に神が手を差し伸べてくれたのです。
しかし、そんな人には後日魔物が待っていました。

地方都市のお菓子メーカーです。昔からの和菓子を作り、遠距離のスーパー各店に
卸して居ます。
昔からの狭い工場で何とかやってきましたが、もう非効率です。工業団地に新築し、移転することにしました。その方が原価も下がる筈です。
資金は地元の金融機関3行が調達してくれます。
しかし満額ではありませんでした。担保が相当不足だからです。そのため、以前から足しげく通っていた大手銀行からビジネスローン8,000万を借りることにしました。
勿論社長だけの保証です。
しかし工場が完成し、移転を済ませた頃から資金繰りが おかしくなりました。
業績は落ちていません。利益率も今まで通り、経費は逆に減っているくらいです。
原因はビジネスローンでした。
建設資金です。地元銀行は返済期間を考慮してくれました。
しかしビジネスローンだけは5年です。それに金利も若干高めです。
今までリスケなど1度も考えたことのない企業が、借りた金を返済出来ないと云うことに直面したのです。
本業では儲かっています。銀行返済だけの問題です。
地方銀行はリスケに快く応じてくれました。
しかしビジネスローンは応じません。挙句6ヶ月間は認めるが、5年以内で完済してくれと強硬です。
他の銀行の後押しもあり、全面的に条件を変えて頂きましたが、話し合いが決まるまで4ヶ月以上かかっています。
その時期、温和な社長の声が変わりました。魔物が手招いている姿を見たのです。

都内中央区の小売の老舗です。主人が夭折し、早くから女社長としてやって居ますがもう70歳を過ぎました。それでも皆に元気よく指示して居ます。
この店が資金不足になり始めたのは、もう7-8年以前です。
それでも本業はそんなに赤字を出しておりません。
粉飾はやって居ないつもりですが、若干の手を入れて黒字を保って居ます。
其れまでは、お金だぶついていました。
7行の銀行が無担保で、頼みもしないのに貸してくれて居たのです。
其れが8年ほど前から吸い上げに変わりました。何のかんのと理由を付けられ、一括返済をさせられたのです。余分なお金がどんどん吸い上げられてきました。
やがて余裕資金は底を突きました。
もう纏めた返済は不可能です。
それどころか「新たに貸してくれるか、リスケをしてくれるか」でない時は返済も出来ない状態になったのです。
よくしたもので、この頃からビジネスローンを貸してくれる銀行が出てきたのです。しかも相手方の持ち掛けです。
社長は「貸してくれ」とは言いません。孫のような銀行員に「お金がない、返済が出来なくなる。」と云うだけです。
その為かどうか、解りませんが救いの神が現れたのです。おかげ様で銀行返済は当分リスケをせずに返済できます。
そのお金が無くなる頃、また違う銀行が貸してくれたのです。
こうして次から次の貸し手が現れました。社長は平然と返済を続けられます。
しかし、この借入は、手形借入の手形の書き換えとは違います。
5年と云う短い返済が増えていきますから、借入残が増えなくても、返済額は増える一方です。
もう貸してくれる銀行が現れても、返済が続かなくなるのは目に見えています。
その時は強引にリスケしかないと、腹は決まっています。
ただし、銀行は貸金は無担保でも、女社長は相当な資産をどこかに隠してあると睨んで居ます。ある銀行など支店長がぶらっと遊びに来て、さり気無く探りを入れて
居ります。
当人は住んでいるマンション以外何も無いと頑張っています。
もう直ぐ魔物が猛威を奮いそうです。

お金の借り方さえ間違えなければ、どんなお金を借りても良いでしょう。
消費者金融でも役立つ場合は多いです。
ただし借り方・使い方を一つ間違えると、何倍にもなって自分に襲いかかってきます。
サラ金地獄と云う言葉もありますが、本当の原因は自分が作っています。
決して貸せる方ではありません。
ビジネスローンも後で魔物に変わり易い貸し金の一つです。

どんなような推移でどんな魔物となっていくか、そんな例を機会がある時、ご紹介したいと思います。






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