かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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相続

2007-05-31 | 事例
突然舞い込んだ1通の手紙、彼はどうしてよいか解りませんでした。
あるサービサーからの手紙でした。
「貴方の叔父様はこの度他界をなされました。貴方は其の相続人になっております。
 一方叔父様は当社からの借入債務を保証し、この債務は残念ながら現在、
 弁済しなければならない事態となっております。当社は叔父様の相続人である
 貴方にこの債務の弁済を求めますが、ご異議のある場合は一報下さい。」
と云う主旨です。

40歳を超えたばかりの彼ですが、既に両親は他界して居ります。一人息子でした。
親戚付き合いも殆どありません。
手紙にある、亡くなった叔父様とは亡父の弟でした。3人兄弟の真ん中の人で、手広く事業をやって居ると言う事を誰かに聞いた事があります。
お葬式には顔を出しましたが、其の時にもう一人の叔父が「兄貴も商売が余り上手く行かずに悩んでいたらしいよ。そんなのが尚寿命を縮めて居たんだな」と云って居たのを思い出します。

「何で私が相続人?奥さんや子供も二人居るんではないか。
 又実の兄弟の叔父さんも居るのに、何で私が?」
訳の解からないままに、故人の息子、つまり従兄弟に電話をしました。
「父は会社の全借入の保証をして居りました。其の会社は倒産となりました。
 自宅はじめ父のものは全て担保に入っておりますから、私たちも間近く明け渡しを
 しなければなりません。それでも不足らしいですから、母も私たちも全員が相続放棄をしました。其れなのに何故、貴方に相続だからと言って行ったか解かりません。」
と云う返事です。

少し解かってきました。
実の子供が相続放棄をして居るから、何か彼のところにお鉢が回ってきたらしいです。
故人の弟の叔父に電話をしました。
「うん。俺のところにも来たよ。どうやら俺とお前が相続人になって居るらしな。
本当の相続人が相続放棄をしたから兄弟や甥のお前にも来ただろうが、
どうすればよいだろうか。以前一寸聞いた事があるが、相続放棄は故人が
他界して3ヶ月以内でないと出来 ないらしいが、もう3ヶ月は過ぎているし、困 ったよ。
弁護士に相談しようかと思って居たんだ。」

「おじさん。相続の関係は家庭裁判所と聞いていますから、こんな場合どうすればよいか先ず
裁判所に聞いてみますよ。弁護士を依頼するならば、其れからにしましょうよ。」

家庭裁判所は親切でした。
相続には第1順位か第3順位までの相続人が居り、上位の順位者に誰も相続をする人が居なければ下位の順位者が相続する様になること。相続放棄と云うのは、其の相続人が最初から居ないと同じ事。借金も保証債務も相続しなければならないこと。
等を簡単に説明した後、
「借金とか保証債務などは他界した時からでなく、知った時から3ヶ月以内でよいのですよ。貴方も、資産の相続もしてなく、今回初めてそんな負債があり、自分が相続義務のあることを知ったならば、直ぐに其の手続きをすれば間に合いますよ。」
と手にとるように教えてくれました。

彼は難を逃れましたが釈然としません。
おそらく負債以上の資産が有れば自分のところまで相続騒ぎが回ってくることがなかったでしょう。自分のところまでこの騒ぎが回ってくるようならば、必ず相続放棄が出来る筈です。
こんな騒ぎは、サービサーが人に不愉快な思いをさせて、無駄な費用と時間を作らせるだけだ。こんな騒ぎを起す、サービサーに損害賠償が出来ても良い筈だ、と思っています。

しかしその後こんな例がありました。
事業家の父がなくなった時に、お嫁に行っていた主婦は1000万の現金を相続したのです。
後は母親が預金など。その他の資産は父の後を継いでいる弟が全て相続し他のです。会社は勿論弟が社長になって今後の経営をしていきます。
それから5年後に、この会社が倒産したのです。
たった1000万貰っただけですが、保証債務の法廷相続分、つまり何億かが主婦の
保証債務として掛かってきたのです。
主婦には勿論資産はありませんが主婦の夫は有名会社の役員です。
其れを暗に見越してサービサーは揺さぶってきます。

自己破産をしようが、または差押されようが、主婦だけならば平気ですが、其れが
近所のばれたり、主人の務めにわかり、主人の立場に傷が付くようでは何より困ります。

この件はケリがついて居りません。
しかしこんなことまで相続人として責任を負わないとならないでしょうか。
嫁に行った子供が形見分けの代わりに、少しの遺産を相続し、其れがために其の何十倍の保証債務の責任を負わなければならないとは、如何なものでしょうか。






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