かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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いやらしい請求

2007-07-13 | 事例
和留は巻田が急死したと聞いた時「占めた」と舌なめずりをしました。
二人は同じ土建組合の双璧です。日ごろは仲良く、良く飲みに云ったりゴルフなど共の行動を見かけます。
しかし内心は二人とも相手を叩きのめして自分がこの業界を仕切って行きたいのです。土建業界がまだ談合が叫ばれる少し前の頃です。

牧田の死は自殺とも噂されました。この頃各府県とも極端に予算を搾り出し、何処も良い噂は ひとかけら も有りませんでした。
牧田のところも「もう直ぐ飛ぶ」つまり不渡りを出すのではないだろうかと云う噂が立って居たのです。
和留は牧田の後の組合を牛耳る他に、市内の一等地の牧田の事務所、あわよくば小町の異名を持つ其の妻さえ狙ったのです。

「牧田が死ねば銀行は黙っては居ない。必ず整理に出る。その時に力を
貸せる態度を見せて。」
和留の読みは当たって居ました。銀行は牧田亡き後、会社は成り立たないと見て、あると思われる生命保険すら仮差押をしてきたのです。続いて担保の競売をしてきました。
ところが此れを牧田の妻は全部乗り切ってのです。
仮差押に莫大な預金は1円も差押えられなかったのです。競売の本社は相当安く事前に娘婿に任売で銀行を説得させました。
以前からの信頼する知人が全部陰で仕切ってくれました。

其れまでは和留は頻繁に顔を出したり、資金援助を申し出ておりましたが、其の野望を見破ったのか、妻は相手にせず、次第に和留も遠ざかって行きました。

牧田が死んで3年ほど過ぎたある日、和留が突然尋ねてきました。
「今まで忘れていたのだが、調べてみると、私は牧田さんに500万貸して見返りに白紙の小切手を貰って持っている。悪いけれど返して頂けないだろうか。」
思いもかけない言葉です。

確かに500万は死んだ社長の牧田の署名がある小切手で日付は白紙です。
聞いてみると死ぬ1年前ほどに用立てたと云うことです。
小切手としてまだ効力が有るだろうかと思って、銀行にも問い合わせをしましたが、回ってくれば供託をしない限り回すと云う事です。

其の番号の小切手はの控えもない欠番になって居ます。死んだ社長が持ち出したのは間違いありません。
しかし社長は死ぬときに細かく後の注意事項を書き残しています。
其の中には保険で処理してくれと云う借金も大分ありましたが、この大口の借金は載って居ませんでした。

「ちょうどお宅に払うべきお金が150万あるからこれを引かせてもらうわ。
残りの350万至急払ってや。後は弁護士に任すからそちらと交渉してや。」

しかし社長が他界まで1年、それから3年も時間が有りながら、その間黙っている人ではありません。業界でも金銭には相当五月蝿い人と騒がれて居る人です。
妻は恐らく、博打で負けて一旦払い、後で取り返して、その時に直ぐに処理をしておけばよかったが、金銭には磊落の夫は「破いておいてや」で済まして居ただろうと推測して居ますが実態はわかりません。

前に銀行と争った時に相談してくれた知人は、供託か不渡りを薦めます。
万一不渡りにしても1回だけの不渡りだから、銀行も当座解約までしないだろう。
相手が訴えてきたらしめたもの、裁判で本当のことが解かる。その結果払うものならば仕方無い、と云うのが知人の言葉です。
しかし妻は売掛金の入金次第に350万を払う約束をしたのです。

ところが其の約束から10日経たないうちに又和留が尋ねてきました。
「実は今度は個人に貸してあるお金が800万あることを思い出した。此れが証拠の証文だ。此れを払って欲しい。」と云うわけです。
「主人が借りた物でしょう。皆相続放棄をして居ますよ。裁判所で調べてくださ い。」
で追い返しましたが、実はは母が一人相続をして居るのです。
遺産はありませんが株式が70%相続です。
相手が此れを狙っているものならば少し厄介です。

知人は完全に硬化しました。
「何か事情のある小切手であり、証文でしょう。
だから今まで出しそびれて居ただろうが、此処で其れを出しても良い磁気に
なったと思います。だから急に攻めてきたのでしょう。
一切を払わないことにしましょう。不渡りになっても平気ですよ。世間にも
1回の小切手不渡りだから解かりませんよ。
相手が訴訟を起こしてくればこっちは裁判で争いましょう。
足手が確かに貸したという証拠が出ては来ないと思います。」

ついに妻はその気になって「350万を払います。それで小切手と証文を返してください。尚以後どんな事情があろうがお互いに請求は無いと云う和解書結びましょう。」
しかし和留は聞きません。売り掛けの150万と350万、それに800万の1割を出して欲しい。本来ならば出来る相談ではないが、他ならぬ奥さんの頼みならば聞かないということは出来ないでしょう。」相手は役者が上です。

知人は反対しました。しかしもう疲れ果てた妻はそれで和解をしたいのです。
知人は次の案を示しました。
「解かりました。其れならばそれで和解をしましょう。しかしお金は其れこそ1ケ月位先の先付けにして下さい。
其れまでに若しサービサーから差押があればその先付けを不渡りにしましょう。」
サービサーとは1200万払え。200万ならば払える。では法的回収に入ると
言われ、債務名義を取られたばかりです。

何か事情があって小切手が渡ったことには間違いありません。
しかし損後解決していると思います。解決していないなら、4年間も放っておく筈がありません。

しかし為す術はこちらに有りません。
請求の訴状にもって行かせて、そこで反論しかないのでしょうか。






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