かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

争い好き

2008-01-15 | 事例
AはYを訴えております。
内容はAがYに譲渡したY工業の株券の代金、1億円のうちの
未払い分8000万円を払いなさいと言う訴えです。

AとYとは余り仲も良くありませんが、双方とも父親の頃は
結構仲がよかった見たいです。其の所為か、何故かA織機の
決算書にはY工業の株式が400株、額面の3倍の価格の6000万で
資産として計上されて居ります。何かの時、Aの父親が買ったか、
またはYの父親に依頼されて買ったものでしょう。配当は1度も
ありませんが、株主総会の案内など良く届いて居ります。

最近はもう銀行も融資をしてくれませんから、Aはこの株を
Yに買い戻して欲しいのです。第一配当も無く、何の恩典も
無い株式など額面の2000万でもお金に変われば儲け物です。
しかし高ければ高いほど良い事は辺り前です。
一方Yも、そろそろ隠居をしよう。3人の子供たちに実権を
譲ろうと思っていましたから、Aの持つ株が欲しくなりました。
二人の間で取引が発生したのです。

問題は此処です。受け渡し日・単価・支払い方法などを
細かく決めてからの異動ならばよいですが其処は町の有力者同士。
はっきりと決めないうちにYは一応Aに断り自社の株主名簿を
書き換え、それに基づいて株主総会も開き新役員も決めたのです。

一方では売買ですから、値段を決めて決済が必要です。
しかし互いに腹の探りあいで自分の言い値を明らかにしません。
Aは額面は2000万でも簿価は6000万です。最近もY工業は景気は
よいと聞いていますから、この際できるだけ儲けてやろう、
1億と言ってもおかしくないと、一人胸算用です。
Yの方は最近は業績も落ち込み勝ちで、良く引き取っても
額面の2000万までと思い、2000万だけは直ぐに振込ましたが、
後は梨の礫です。

Aの弁護士はひどい人です。Aに発破を掛けます。
「Aさん。此れは争いましょう。絶対に勝てますよ。
そりゃ譲渡契約など一切ありませんが、Aさんは相手に 
「今は業績もよいからこの株の評価も大分上がっているでしょう。
私の株も1億くらいになって居るかな。」とYに言ったのは
価格は1億と云うことです。負ける筈がありません。
私がやってあげましょう。」
とそれなりきの着手金です。

しかしYは次のことから簡単に負けないと思って居ます。
「あの時Aが1億はしそうと言うから、
わしは直ぐに、店頭株になっても額面でも
動かない株になりそうと打ち消しておいた。」

話がおかしいならば取引を全て元に戻せば
よさそうなものですが、そうすると両方とも困ります。
Aには既に使ってしまった2000万円を返済する力はありません。
Yの方は役員人事が、全て元の木阿弥になり、此れがきっかけで
Aが役員を要求してくれば、折角の会社にひびが入ります。
と云って1億も、お金もありません。簿価の6000万すら出来ません。

何故か、弁護士が訴訟に踏み切るまでに1年かかっております。
訴訟になっても時間ばかり要して居ります。1年くらいたって
裁判所の命で譲渡された株の価値が出ました。3500万です。
裁判所の和解勧告が有りました。

Yも少し折れてこの話は4000万で和解になりました。

此処でAに変化が見られるようになったのです。
1億が4,000万にはなりましたが、元々腹の中は2000万で
換金できれば上出来と考えて居たAです。少し高く吹っかけ、
訴訟になれば自分が思っていた倍のお金が入ってきたのです。
しかも其れは裁判所が査定した時価より高い額です。
訴訟こんな良い事、今後利用しない手はない、そう気付いたのです。

例の弁護士と組んで訴訟ラッシュです。
青汁の共同開発で失敗すると直ぐに共同者を損害賠償で訴えたり、
納期遅延を口実に、大幅値引きだけでなく、逆に損害金を
取ろうとしたり、普通の人から見れば言い掛かりもよいところです。
銀行相手に貸し渋りに依る損害賠償を訴えようとしたらしいですが、
此れは弁護士が同業者から忠告されて止めたとも聞きました。

間もなくAは、裁判にも勝てず、商売も誰もが協力を
しなくなったのです。夫婦は離婚し、息子とも別れて
一人で生活を余儀無くされています。其の家も競売で
立ち退かねばならなくなりました。

そんなAの状況、又の機会にご紹介します。





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