かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

やっぱり人です

2008-01-20 | 事例
タイル工事をして居るYは父親から今朝、
「週末の手形がどうしても決済できない。会社は倒産する。」
と聞かされました。

職人8名のタイル工事としては中規模な会社です。
年々減って行くタイル工事ですから、競争は物すごく
激化して居ますが、Yタイルの評判は良く、頑張っています。
第1線で指示をして居るYには手形が落ちないなんて夢にも
思って居ませんでした。

10年位前、バブルで値上がりした土地もぐんと下がりました。
その時に父親は近くに駐車場と物置になる土地を買いました。
此れが命取りになっていたのです。景気は更に悪化。競争は
薄利にとなり、業績はどんどん落ち込んだのです。資金繰りを
していた父親も、もうどうしようもなく、不渡りを覚悟したのです。

Yは経理や資金のことなど何も解かりません。大学の時応援部から
いきなり父親の仕事を手伝い出したのですから、少し変り種と
云えましょう。しかし、人の面倒見は実に良く、若い職人達の
格好の相談相手です。中堅ゼネコン2軒が大きな得意先です。
一旦引き受けると施行・納期安心して任せられます。しかも同じ
工事仲間から評判の良いYを、ことさら信用していたみたいです。

ただ、おろおろする父親を引っ張って弁護士のところに
駆け込みました。弁護士の言う事はYの意とは大きく違いました。
「自己破産しか方法はない。費用は不動産も二つあるから
300万くらい掛かる。」と云う事です。
何よりYが承知出来なかったのは、
「下職や職人の賃金は売掛から真っ先に回したい。」
と云うYの意見が無理だと言うのです。
「全部の負債額が決まった後です。其れも職人は給料で
優先債権になりますが、下職は一般取引と同じに見られるから
Yの希望とおりにおは難しい。」
と云う事です。

Yは直ぐ其の足で友達が紹介してくれたGに相談に行ったのです。

「第2会社で行きましょう。Yタイルを止めて別の会社を作ります。
其の別会社とゼネコンとが取引できれば何とかなりますよ。」
Yの顔色が少し生き返るました。
「大丈夫です。多分私がお願いすれば口座は作ってくれるでしょう。
駄目だと言っても、私は一生懸命口説きますよ。」自信有り気です。
「若し此れが出来ると後は債務処理だけです。銀行は放って
於いても2回不渡りを発生するまでは動きませんよ。
先ず取り引き先を説得することが先決です。」
意外に仕入れ先は少なく、全部で9軒しかありません。
ただ大手のI陶器が入って居ます。ここの意向次第では
材料が入らなくなります。
 
GもYの熱意に負けて夢中になって説明しました。
3時間くらいYはメモも取らず瞬きさえ忘れたように
Gの話を聞いたのです。

次の日からYの奮戦が始まりました。
Gが驚いたのが難の抵抗もなくゼネコン2軒とも仮口座を
作ってくれたことです。それどころかいろいろアドバイスすら
与えております。
「何時も飲んだりしているの。」Gの質問に首を横に振ります。
「私飲めそうに見えても飲めないのです。但し仕事については
一言でも文句を言われたら終わりだと云うくらいの気持ちで
やって来ました。」言うのです。

続いて債権者会議です。仕入先だけです。
此れも難なく終わりました。
心配したI陶器は「今までの積立で殆ど見合って居ますから、
債務の件は心配しなくて良い。今後の取引は直では出来ませんが、
ある会社を経由して今までと同じ条件で出来るようにしましたから。」
と先ず解決です。他の仕入先も「息子の専務が頭をさげたからには。」
と残額を殆ど放棄、若干の配当で承諾してくれたのです。

後一番大きい銀行債務が残って居りますが、此方は担保さえ
手放す覚悟がついていれば何も問題ありません。あとは如何に
手放すかの方法だけです。

「切れる」と言うタイプでは有りません。
「豪肝細心」とも言うべきでしょうか。
このYタイルの整理にYが主役で有った事は事実です。

しかしYはそんなこと思っては居ないでしょう。
目先に起こったやらねばならない事。其れを初めてだ、
知らないなんて言わなく夢中で取り組んだだけでしょう。

お金が無くても、経験が無くても人さえ信頼されていれば、
何でも恐れる事は無いんだ。
Gは自分に言い聞かせています。





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