「菱の実」
【生産地】神埼市
【特徴】菱(ひし)はミソハギ科ヒシ属(ヒシ科はミソハギ科に含められた)の水生の一年草。湖沼や池に生え、茎、泥水中を伸びる。葉は菱状(ひしじょう)三角形で、葉柄の一部にふくらみがあり、四方に出て水面に浮かぶ。夏、四弁の白い小花が咲く。実は堅く角状のとげがあるが中の白い種子は食用する。菱の種類には、菱(和菱)、オニ菱、唐菱(からびし)、ヒメ菱などがあるが、神崎市では日本に昔から生息している和菱を栽培している。
【食味】茹でると栗のような素朴な味わいが楽しめる。
【料理】茹でて皮をむき、そのまま食す。菱ご飯、炒め物、サラダ、甘露煮など。水田で栽培した菱は、地元の特産品である「神埼菱焼酎」や「ひしぼうろ」など神埼ブランドの原料として使用される。外皮は乾燥させてお茶にする。
【来歴】菱は、山菜や山葵(わさび)、牛蒡(ごぼう)など、大昔から日本に自生していたとされる20種ほどしかない在来種の一つである。かつては、全国の湖沼で見られ、おやつとして食べられていた。しかし、徐々に生息地が減った。現在、菱の栽培地としては福岡県と佐賀県である。
菱はクリークと呼ばれる農業用水路にも生息し、神埼市大依地区などでは、毎年、9月下旬から10月末までの間、クリークに浮かべた「ハンギー」と呼ばれる大きなタライに乗って、手摘みで菱の実を収穫する昔ながらの手法がとられており、「菱の実採り」は秋の風物詩となっている。2009年に、市役所総務企画部・政策推進室が「神崎ブランド」として「菱」を市の新しい特産品にしようと調査と栽培を本格化した。ところが、2021年にクリークで自生するヒシの実の収穫量はゼロになるという出来事があった。原因は、外来種のミシシッピアカミミガメなどが茎を食いちぎっていることや、近年の大雨災害で種が流されたことが原因ではないかとされている。そのため、安定生産を目指す「神埼和菱組合」は、休耕田を利用して人工的な栽培を開始。クリークで採取された菱の実は神埼和菱組合を通して、神埼産生菱として全国に出荷される。
【時期】9〜11月 水田は12月頃
*https://tradveggie.or.jp/41-saga/#i-13 より
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