うまいッ! 「レモンが食卓の主役に~広島県尾道市瀬戸田町~」 2014年12月14日
番組内容
果汁を絞れば料理を引き立てる、レモン。国内シェアの半分を占める広島県。中でも尾道市瀬戸田町の生口島と高根島は“レモンアイランド”とも呼ばれる。瀬戸内は四季を通じて風が穏やかで雨が少なく、レモンの栽培に最適。しっかりとした酸味に加え、甘みからくるコクが特徴だ。その味をさらに濃くして、従来の絞って果汁を楽しむいわば脇役から、丸ごと“食べる”主役の食材へと押し上げる挑戦が始まっている。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201412140615001302100 より
詳細不明につき、勝手に調べてみました。
「瀬戸田レモン」の産地、瀬戸内海に浮かぶ小さなレモンの島 広島県尾道市瀬戸田町 (取材月: December 2017)
広島県南東部に位置する尾道エリアは、瀬戸内ならではの穏やかな気候によって、豊かな食文化が育まれてきた地域だ。
なかでも、しまなみ海道の通る瀬戸田町生口島(いくちじま)は日本一の国産レモンの生産地として有名である。外国産レモンが市場で多くみられるようになった時代から、いち早く生産者らが連携し、美味しさと安全面にも気を配ったレモンの栽培に取り掛かったことで「瀬戸田レモン」としてのブランドを確立。全国各地のスーパーやレストラン、料理人から重宝されている。島内ではレモンの生産だけでなく、レモンを使ったジュースや菓子などの加工業も盛んで、通称「レモンの島」と呼ばれるほど生活にレモンが根付いている。
農家が大切に育てる安心安全なエコレモン
瀬戸田町生口島は、広島の尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道のほぼ中央に位置する人口約9,000人の小さな島だ。
土地の半分が傾斜地で日当りがよいことと、夏の降水量や年間の降水日数が少ないという瀬戸内特有の温暖な気候が、寒さや風に弱いレモンの栽培に適していたため、古くは明治時代頃からレモンの栽培が盛んになったそうだ。現在では町内の農家の多くがレモンを栽培しているため、秋〜冬にかけて島を訪れると、至るところで鮮やかな黄色の斑点模様を目にすることができる。
「レモンは手間がかからないぶん、育つ環境が一番大事。とにかく寒さに弱いからね。5℃ぐらいでも枯れちゃうんだよ」。
レモン農家の久保雅男さんが、収穫中の畑を案内してくれた。
レモンの栽培周期は、5月に花が咲き、6月頃から実がなり始める。10月頃から爽やかな香りと味わいが特徴のグリーンレモンの収穫が始まり、年末頃から翌年の4月頃まで、通常のイエローレモンの収穫が続く。収穫期間を比較的長く取るのは、出荷の直前まで鮮度を保つため。レモンは酸味が強く腐りにくい特長があるものの、久保さんのレモンは農薬の利用を抑えているため鮮度が落ちやすく、収穫するタイミングが肝となるのだ。
久保さんはレモンへの細かい配慮を怠らない。強い風などで樹が揺れると実に傷がつき、最悪病気にかかる恐れがあるため、なるべく樹の下部に実が集まるように調整し、葉っぱで覆い隠すようにレモンを成育させる。瀬戸田レモンは形がきれいと評判があがるのは、こうした農家の努力の賜物なのだ。
「収穫したてのレモンの香りをかぐと疲れも取れちゃうよ。特に形も色も綺麗なものが出来ると嬉しいよね」と、久保さんが照れ笑いをしながら語ってくれた。
1960年代に外国産レモンの輸入が自由化。外国産レモンが市場に多く出回ることになったが、当時、外国産レモンに多く使われている防かび剤が問題になった。 広島県では、久保さんが作るレモンのように、環境ホルモンの疑いのある農薬は一切使わず、農薬自体も減らして育てたレモンを「エコレモン」として全国でもいち早く認定した。瀬戸田地域が低農薬のレモンの栽培方法を模索し、見事にそれを確立することで、全国的にもその栽培方法が広まっていったという。皮まで安心して食べることができるのがエコレモンの特長だ。
届けたいのは“レモンの香り” 瀬戸田名物レモンケーキ
皮まで安心して味わうことができるエコレモンの特長を活かした加工品作りも盛んに行われている。特にレモンの香りを引き立てたレモンケーキ作りは町内でも5社以上の工房が取り組み、瀬戸田の名物の一つとして人気を集めている。
そのうちの一社である「島ごころ」の工房を訪れた。
この工房では、レモンケーキの生地に練り込む自家製のレモンジャムを果肉ではなく、すべてレモンの皮を使って作っている。しかも、すべて熟練のスタッフによる手作業で皮を切り取っているから驚きだ。
「レモンの香りの成分となるリモネンは実は果肉ではなくて、皮に含まれているんです。手作業にこだわるのも、レモンの香り成分をできるだけ損ないたくないからです。とにかく瀬戸田レモンが持つ爽やかで心地よい香りを届けたくて僕らはレモンケーキを作っています」と、代表の奥本隆三さんが教えてくれた。
奥本さんは生まれも育ちも生口島。18歳の時に初めて島を飛び出し、大阪のお菓子の専門学校を卒業、神戸で修行を積んだのちUターンして町内でロールケーキを中心とした洋菓子店を開いた。次第に幼い頃から慣れ親しんできた瀬戸田のレモンの魅力を再認識するようになり、10年程前からレモンケーキをつくりはじめ、いまでは、販売開始から累計300万個以上も売れた瀬戸田を代表するヒット商品となっている。奥本さんは、お菓子作りだけでなく、生産者や販売者を巻き込み「レモン祭り」などのイベントを主催するなど、瀬戸田のレモンを活用した町おこしにも積極的に取り組んでいる。
「小さい時から当たり前のように眺めていたレモン農家さんの仕事を改めて見てみると、本当に丁寧な仕事ぶりで驚いたんです。簡単そうに見えますが、細かい気配りが随所に隠されていて。レモンが全部キレイで糖度もある上に、香りが格別。胸を張って瀬戸田のレモンが一番と言えます。それをもっともっと伝えていきたいです」。
安心安全と向き合い、日々丁寧にレモンを育てる農家。
その果実を引き継ぎ、親しみやすい形で町の内外に魅力を伝える職人たち。
瀬戸内に浮かぶ小さなレモンの島は、生まれた島を愛し、レモンを愛する人々によって支えられていた。
情報提供:レモン農家 久保雅男さん / 島ごころ 奥本隆三さん
瀬戸田レモン“旬”の時期
10月〜12月 グリーンレモン
12月〜4月 イエローレモン
目利きポイント
色づきがよく、形が綺麗で果皮にハリとツヤがあるもの
果皮にシワがよったり、変色していないもの
美味しい食べ方
グリーンレモンは固いため、揉んだり電子レンジで少し温めてから使うとよい
レモンの香り成分が含まれているのは皮。レモンを絞る時は、果肉を上向きに皮が下にくるように絞ると、レモンの香りがより一層引き立つ
*https://shun-gate.com/roots/roots_68/ より
レモンは柑橘類の中でも寒さに弱い種類です。強風雨によって葉や茎が傷つくことにより感染する病気にも弱いため、レモン栽培には温暖で雨が少なく風が穏やかな気候が適しています。
瀬戸田町の年平均気温は15.5℃と暖かく、中国山地や四国山地で風がさえぎられ、風上の山地側で雨も落とします。
さらに急傾斜地が多く、土壌の大部分が花こう岩で水はけが良いことも、レモン栽培にとって恵まれた環境となっています。
瀬戸田は古くから柑橘類の栽培が盛んな土地です。当時は自家栽培程度だったと考えられ、昭和2年 (1927年) からは瀬戸田をレモンの産地にするために栽培面積を増やすなどレモンの増産が行われました。「レモン谷」と言われる地名の残る垂水地区は戦後、瀬戸田レモンの基礎を作り、県内でも代表的なレモン産地として知られるようになったのです。
ところが、昭和39年 (1964年) 5月の「レモンの輸入自由化」に続き、昭和51,56年 (1976,1981年) の大寒波などにより、瀬戸田レモンを含め国産レモンは致命的な打撃を受けました。生産量は一時激減しましたが、その後、安全面等から国産レモンの需要が増加し、徐々に栽培面積と生産量を増やしています。令和2年 (2020年) 現在、広島県の栽培面積は293ha (全国654ha、シェア45%) 、生産量4,861t (全国8,634t、シェア56%) となっています。 (農林水産省令和2年産特産果樹生産動態等調査より )
*https://www.pref.hiroshima.lg.jp/lab/topics/20230630/01/ より
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