ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「2重螺旋の恋人」

2018-09-05 | 映画のお話


久しぶりのフランス映画

フランソワ・オゾンの最新作

「スイミング・プール」も「17歳」も私の大好きな女優さんが出ていて、この監督を知ったようなものだ。
女性の心理描写が繊細かつ大胆に描かれていて、ミステリアスなのが魅力だ。


主人公クロエがくせのないまっすぐな髪を切るシーンから始まった。
そうして婦人科での診察シーン
これからの展開を思わせるようなちょっとショッキングな粘膜のような映像
原因不明の腹痛の原因はわからず精神分析医の元へ

随分と短くなった髪に良く似合うカジュアルでシンプルなファッション
通うことになった部屋への螺旋階段

待つ間に必ず鉢植えをチェックするのが不思議だった。
土で汚れた手はどうするのだろうかと気になってしまうばかり・・・
だが、これも二つの違いのヒントなのだろう

精神科医とのカウンセリング場面
仕事場の美術館の展示作品の変化

じっと見つめる猫のまなざし、しっぽ、体のうねり
猫のアクセサリーや内臓

正反対の双子の男たちの言葉やしぐさ
その間ですべてが揺れ動き出すのだ

やがてどれが本当でどれが想像の世界なのか

観ているうちに
どちらが、と、わからなくなっていく
騙されているのは実は彼女ではなく、私なのだろうかと・・・

原因不明の腹痛は双子の片割れだろうと最初から見当はついてはいたが

螺旋階段や美術館の中をさまよって行くうちに
こちらまでいつの間にか訳がわからなくなっていくような気分だ


「この映画では夢を現実のように、現実を夢のように撮った」と監督は言うのだが
心と身体のかい離したクロエの
本当の現実の世界を私は見つけ出せるだろうか

そつのない意外な終わり方をしたのには少し気が抜けたが
ほっとしたようで、また終わりのない何かが始まる気がして恐ろしかった
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「地下鉄で」

2018-09-05 | きょうのできごと
急ぎの用事があって、午前中の講演会だけで切り上げ地下鉄に向かった。

改札近くに小学生の団体が待機していた。
校外学習かぁ、もうそんな季節になったのだ。


彼らはどうやら反対方向に乗るらしく
安堵してやってきた電車にのりこんだ。
が、すでに始発から乗ってきた別の小学生の団体が座席を占領していた。

私たちが乗りこんでも
席を詰めるどころか、
自分たちの横にころがったリュックを立てようともしない。
さらに数人は席から立ってはうろうろしている。

あまりのだらしなさに
座りようもなく、ドア付近に立って観察を始めた。

駅にとまる度に乗客が乗ってくるが
様子は変わらない。

そのうち、荷物を座席にばらまいたまま、立ち上がり、ゲームを始めた。
せんみつのなはなはゲームもどきでそれぞれの名をあげてえらく盛り上がっている。
それがあちこちで繰り広げられている。


騒がしくて車内のアナウンスがちっとも聞こえない・・・

それでもやめる気配も降りる気配もなく
乗りこんできた乗客も子供の姿を見て最初はほころばせていた表情も
やがて皆固くしてしまっている。

たまり兼ねてすぐ隣の子供たちに
「社内アナウンスがちっともきこえないから静かにして」とお願いすると
しばしシーンとなった。
どうやら言えばわかるようだ。

向かい側では隣の乗客に動かしたリュックをぶつけてひんしゅくをかっていたのだが
誰も何も言わないので
謝る所か、気づいてもいないそぶりで
そのうち寝転ぶしぐさまで始めている。

「先生はいないの?」と聞くと「そこにいる」という返事
そこって?と見るが私の目には先生らしき人は見つからない、
子供たちを視ていなのだろう。全く気配がないのだ・・・

どうやら言わないとわからないらしいので
「ここは公共の乗り物、あなたたちの自家用車じゃないのよ」
と、静かにしなければならない理由を話すとちゃんと席についた。

ギャングエイジの4年生ぐらいだろうか、
ちゃんと学校の名札もつけている。

地下鉄に乗っているとたまにはにぎやかな子供たちもいないではないが
こんな放牧シーンは初めての体験だった。
 
たいていの先生は立っていて、すぐ存在がわかる。
そうして、時には口に人差し指などあてて
注意を促しているのが普通だから

ずっとスマホに夢中な乗客の中に
先生という名の人もいたのかもしれない・・・

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