3度目のオスカーを手にした「フランシス・マクドーマンド」を私はよく知らない
60代の熟年女優なのにだ。
なんと、かの有名なコーエン兄弟の兄ジョエルの連れ合いでもあるらしい。
「ノマド」は何となく語感がいい。
語源はギリシャ語~フランス語で遊牧民、放浪者の意味らしい
ヨーロッパのジプシーは民族だからまた違うのだろうなどと思いながら観ることにした。
キャンピングカーを持ち、夏は北海道、他の季節は各地を巡り
合間に海外旅行をする方を知っている。
だから私には数千万もするキャンピングカーとノマドの生活がつながらなかったのだ。
ネバダ州エンパイアで暮らしていたファーンは、リーマンショックによる企業倒産で家も仕事も失った。
町が閉鎖されたのだという。アメリカにはそんな町がいくつもあると知った。
ダムができるから沈むのではないのだ・・・
企業城下町やカンパニータウンという言葉の真の意味を知った気がした。
夫にも先立たれ、バンを改造した車で寝泊まりしながら、季節労働者として現場を渡り歩くノマドのくらし
最初のシーンで女の子に「先生はホームレスなの?」と問われると
「ホームレスではなくハウスレス」ときっぱり答える。
教員をしていたことを知り
自分で手を入れて改造し、思い出の詰まった車がホームなのだと思った。
季節ごとに移り行く壮大な風景が素晴らしい。
出会う人びとが皆優しく声をかける。
アメリカ映画なのに悪人がひとりもいないのも不思議だった。
いつでもどこでも一様に気遣ってくれるが、親切の押し売りや無理強いはしない。
若い放浪者たちが現れた時、一瞬ドキリとしたのだが事件は何も起らなかった。
後半で若者と再会し「両親が心配しているわよ」とファーンが声をかけるシーンが印象的だった。
アメリカという国の印象が随分変わった。
乳児の頃から自分の部屋をもち、10代後半には家から離れて暮らす核家族社会と信じていた。
不況で放り出され、子どもと暮らさざるをえない親たちがあふれているのに気づかなかった。
国民年金やそこに毛の生えたような短い厚生年金が付いた主婦世代は
日本もさして変わりはないはずなのだが・・・
それでも日本での高齢季節労働者の問題はあまり聞いたことがない。
非正規労働者どまりの問題がさらに短期労働者問題に変わっていくのだろうか。
2008年のリーマンショックで住む家を失い、企業側の経費削減の都合で変わってしまったという季節労働という雇用形態。
世界一リッチだというアマゾンの創始者と
流れ歩く高齢季節労働者の格差はこれからの社会を示唆しているのだろうか。
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」が原作だが
ドキュメンタリーなのか、そうでないのか、わからないというより
プロの俳優と本物のノマドたちの区別が全くつかないのだ。
リンダの本名はリンダ・メイ、片腕を怪我していたスワンキー役は本当のシャーリーン・スワンキー
ボブ役を演じたのも「砂漠の集い」モデルとなった「ラバー・トランプ・ランデブー」を主催し、
他のノマド生活者の支援活動をしているボブ・ウィルス
みな、長いノマド生活経験者でファーンに自分の話をしているだけなのだ。本当のいつものありのままを
辛い過去も思い出も目標も夢も
広大なアメリカの大地と季節の移ろいと夕焼けや夕闇の美しさに救われ
生かされているのだと信じながら観終えた。
社会の深い闇が見え隠れするのだが
自分の思うままに生きること、健康で働くことの素晴らしさを肝に銘じながら観終えた。
深い深い作品だった。
60代の熟年女優なのにだ。
なんと、かの有名なコーエン兄弟の兄ジョエルの連れ合いでもあるらしい。
「ノマド」は何となく語感がいい。
語源はギリシャ語~フランス語で遊牧民、放浪者の意味らしい
ヨーロッパのジプシーは民族だからまた違うのだろうなどと思いながら観ることにした。
キャンピングカーを持ち、夏は北海道、他の季節は各地を巡り
合間に海外旅行をする方を知っている。
だから私には数千万もするキャンピングカーとノマドの生活がつながらなかったのだ。
ネバダ州エンパイアで暮らしていたファーンは、リーマンショックによる企業倒産で家も仕事も失った。
町が閉鎖されたのだという。アメリカにはそんな町がいくつもあると知った。
ダムができるから沈むのではないのだ・・・
企業城下町やカンパニータウンという言葉の真の意味を知った気がした。
夫にも先立たれ、バンを改造した車で寝泊まりしながら、季節労働者として現場を渡り歩くノマドのくらし
最初のシーンで女の子に「先生はホームレスなの?」と問われると
「ホームレスではなくハウスレス」ときっぱり答える。
教員をしていたことを知り
自分で手を入れて改造し、思い出の詰まった車がホームなのだと思った。
季節ごとに移り行く壮大な風景が素晴らしい。
出会う人びとが皆優しく声をかける。
アメリカ映画なのに悪人がひとりもいないのも不思議だった。
いつでもどこでも一様に気遣ってくれるが、親切の押し売りや無理強いはしない。
若い放浪者たちが現れた時、一瞬ドキリとしたのだが事件は何も起らなかった。
後半で若者と再会し「両親が心配しているわよ」とファーンが声をかけるシーンが印象的だった。
アメリカという国の印象が随分変わった。
乳児の頃から自分の部屋をもち、10代後半には家から離れて暮らす核家族社会と信じていた。
不況で放り出され、子どもと暮らさざるをえない親たちがあふれているのに気づかなかった。
国民年金やそこに毛の生えたような短い厚生年金が付いた主婦世代は
日本もさして変わりはないはずなのだが・・・
それでも日本での高齢季節労働者の問題はあまり聞いたことがない。
非正規労働者どまりの問題がさらに短期労働者問題に変わっていくのだろうか。
2008年のリーマンショックで住む家を失い、企業側の経費削減の都合で変わってしまったという季節労働という雇用形態。
世界一リッチだというアマゾンの創始者と
流れ歩く高齢季節労働者の格差はこれからの社会を示唆しているのだろうか。
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」が原作だが
ドキュメンタリーなのか、そうでないのか、わからないというより
プロの俳優と本物のノマドたちの区別が全くつかないのだ。
リンダの本名はリンダ・メイ、片腕を怪我していたスワンキー役は本当のシャーリーン・スワンキー
ボブ役を演じたのも「砂漠の集い」モデルとなった「ラバー・トランプ・ランデブー」を主催し、
他のノマド生活者の支援活動をしているボブ・ウィルス
みな、長いノマド生活経験者でファーンに自分の話をしているだけなのだ。本当のいつものありのままを
辛い過去も思い出も目標も夢も
広大なアメリカの大地と季節の移ろいと夕焼けや夕闇の美しさに救われ
生かされているのだと信じながら観終えた。
社会の深い闇が見え隠れするのだが
自分の思うままに生きること、健康で働くことの素晴らしさを肝に銘じながら観終えた。
深い深い作品だった。