ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「別れる決心」

2023-04-24 | 映画のお話
観たいと思っていた映画が、やっといつもの映画館にやってきた。
韓国の“アカデミー賞”とも称される映画祭・青龍賞では7冠、
2022年・第75回カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞
パク監督が仕掛けた大人のための映画らしいけど

新たな事件で二人が再会すると知っていたのに、
1回目の事件で幕を下ろしそうな構成で
たっぷりと時間も費やしていて、少々戸惑った。

私の感じた戸惑いのようなものが
その運命の女らしげな、男を破滅させるような魔性の女に
観ているわたくしまで軽く振り回されているような
何とも言えない歯がゆさを感じた。

もどかしい場面が多く、こちらの心理も繊細に揺れ動き、複雑になってゆく
うねる波のような、山の稜線のような、海とも山とも見える青緑の壁紙
証言が青だったり、緑だったりするワンピースの色合い
まるでまどろみのように変化するソレという女性の印象のように
そちこちにしかけがあるようで、緻密で不思議な雰囲気が漂う作品だ。

中国語と韓国語が織り交ぜられ、翻訳アプリの男性の声も入り込む

事件を追う刑事ヘジュンは不眠症で始終目薬を差す、
そのたびに何かに侵されていくようで不安になる
ミステリアスな中国女に崩壊してゆく刑事なのだがやっぱり彼も変わっている

一つ目の事件は山で 
再会の二つ目の事件は海になり
祖父の山を歩き
ソレは海で自ら死んでゆく

果てのない二人の追いかけっこがやっとおわるのだ

韓国語がわかったなら、より言葉のニュアンスを感じ取れただろう
ユーモアもあるのだが淡々としたシーンが多くて
もどかしさが募ると飽きがきてまた惹きつけられるような

クソ山に苦笑しながら、デジタルとアナログ
たばこや溶けたアイスクリーム、
魚をテーブルの上で捌く時のシンプルな生と血

市場でいくつもの魚の目をつつく妻
たくさんのザクロにスッポン
スッポンには噛まれるしで・・・

まとまらないまま、
ミステリアスでシニカルとユーモラスがばらまかれたような情景に苦笑しつつ
退屈な気分が浮かんでくるのだが、それでそれでと思ってしまうのだ。
ちょっと手ごわそうな作品だ

韓国映画の印象が随分と変わった
ある意味、カンヌらしい作品だと思う

やはりもう一度,じっくり観てみたほうがいいような気がする

霧という曲も意味深だが、日本の演歌を思わせるような最後のデュエットは
妙に明るく感じられた・・・

コメント
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