
ドイツ製のシーメンス補聴器
人間の記憶は何とも曖昧で、誠に心許無いものだ。お恥ずかしい話だが、その好例をお示ししよう。
かつて義父用に求めたドイツ製のシーメンス補聴器、かなり高額だった割には耳に馴染まず、殆ど使用することもなく、タンスの肥やしとなっていた。ところが最近になってどうにかして再度使ってみると言い出したので、購入元の高島屋補聴器売場へ調整をして貰いに、明日にでも案内することになった。
と言っても手元に保証書も、購入時の書付なども一切なく、2㎝大の左右2個の本機があるだけ。
早速に家に帰って「10年ほど前の寒い時節だったと思う」ということだけを手掛かりに、家計簿を繰ったが見当たらない。次は「高島屋クレジットで購入」をヒントに銀行の通帳を捲ってやっと「2001年(平成13年)8月6日に大口引落し」を見つけた。ここまでに要すること1時間半、しかも「寒い時節だったと思う」は見事にはずれ、逆に暑い盛りであった。
日にちが特定出来さえすれば、後は小生の日記が本領を発揮する。自身でも今は殆ど記憶にないが、7月5日の日記には克明にこう記されている。
「(晩年はアルツハイマー病を患い2004年に亡くなった)レーガン元米国大統領が愛用したデジタル補聴器で、片耳なら260,000円、両耳で440,000円のところを1割引にして貰い税込415,800円、代金は本人と子供3人が100,000円ずつ、足らずは孫娘が負担。しかも、初めのうちは『わしゃー作りゃーせんぞ』と言いながら検査の結果、良く聴こえるので快く同意。呼び出しを受けて小生が会社から駆けつけた時には、既に耳の型取りの最中であった。(以下略)」
日記も5年前からパソコン入力している。これならキーワード検索すれば、記録(入力)さえしておれば立所にヒットする手があるのだが、如何せん8年前の出来事だった。