今回は化石木 C群を見ていただきます。
C群と呼んでいるのは、その後の調査で一番中心となる倒木のC-1周辺に、のちの調査で20cm程度の立木か木の根っこのような化石木が発見され(C-2、3)、またC-1ポイントの下流部40mの地点で、別に1mを越える楕円形の大きな直立樹幹で、外枠のみが残っている化石木(C-4)が森山 義博氏(四天王寺大学講師、元富田林高校教師)により発見されたからです。これらを一旦便宜上C群と呼ぶことにします。(位置は上記の地図参照)
いずれも、大阪層群の細かい木片を多数含んでいる、チャコールグレー色をした粘土層(炭化層、一番最後の写真参照)から発見されています。
2013.10.11. 最初のA・Bポイントの発見より遅れて4か月、2013.10.11.に初めて林が発見しました。長さが1mを越える流木(倒木)化石と思われます。
2013.10.11. 表面は砂や礫をかぶっていますが、大阪層群のなかで炭化物を多く含む粘土層(炭化層、写真矢印の部分がそれ。)に埋まっています。この辺は後で解ったのですが、他の場所とは違っていて全体が炭化層のようです。 2014.8.10.台風11号の増水で表面の砂礫が流され、炭化層が全体的に見えるようになりました。(最後の写真参照)
2014.1.23. ごみを除去後のC-1ポイント
表面を洗浄すると、炭のように黒い色をしています。重く締まっており、水に沈みます。乾燥が進むと木片が剥離しますので、実は水に沈んでいてくれたほうが遺跡の保存にはよいのですが、井堰の不調で水面上に顔を出している部分が多くなっています。
2014.1.23. 上流部より下流部を写す。手前にもう一つ、小さな化石木が見えます。(C-2)
2014.1,23. C-2の拡大図
地中にどれ位埋まっているかは不明です。長辺20cm程度のちいさな化石木ですが、100万年以上経過しています。
2014.1.23. この時、深溝(ふこうど)井堰のゴム引布製起伏堰が不調で中央部が膨らまず、そのため井堰の水が貯水されない状態になっていました。この部分では水位が1.5m程低下し化石木の調査を充分することができました。
2014.1.23. この深溝井堰の下流部は1989~1992年の石川発掘調査団の発掘地点です。現在現場は埋め戻されています。当時、ここからアケボノゾウ、シカマシフゾウ(大型のシカ)、カズサシカ(小型のシカ)、サギ類と思われる鳥類の足跡が発見されました。当時、富田林高校の理化部の生徒さんが初めて発見し、話題になりましたね。その時の部の顧問が次の写真の森山 義博氏です。この発掘でも調査部長として参加されています。
2014.5.2.C群付近を調査中の諸氏 (右は森山氏、左のお二人はサンプリング調査の専門家)
この調査ではおもに個々の化石木の樹木特定のためのサンプリング調査を行いました。井堰の貯水はされていませんでしたが、流入水量が多くC群は水没状態でした。
2014.5.2.サンプリングの結果 C-1は針葉樹、C-2、3は広葉樹ということでした。100万年前、ここは針葉樹と広葉樹が混じる森であったかもしれません。
2014.6.4. C-3ポイント 木は直立しているように見えます。長辺20cm、立木の根元のようにも見とれます。
2014.6.4. C-1~4以外にも木片が散見されます。写真のような炭化層の中に、木片や木の根の一部が散在しています。
2014.6.4. C-2ポイント 5月2日の調査で発見され、20cm程度の立木化石(広葉樹)と考えられます。
2014.7.18. 森山氏が最近の調査で発見したC-4ポイント
C-1ポイントの約40m下流部で発見されました。1mを越える楕円形の直立樹幹で、中が空洞になり外周のみが残っています。
2014.9.3. C-4ポイントについては砂礫が取り除かれ、木の幹回りははっきりわかるようになりました。直径1mを越える大きな立木です。
2014.9.3. C-1ポイント
2014.8.10.の台風11号による増水で、この地点の砂礫が10cm程流されました。C-1ポイントはその結果より大きく見えるようになりました。メジャーは1m。
2014.9.3. C群上流部
この当たりの地層は南東方向に、約15度傾斜しているので、この赤茶粘土層と青緑粘土層の互層は下流部の炭化層より下部にあり、古い堆積層と思われます。この層の中にも、多くの植物片が混じっています。
2014.9.3. C群付近の炭化層
C-1ポイントより下流部を写しました。2014.8.10.の台風11号による増水で、この地点は表面の砂礫が取り除かれ、大阪層群の炭化層がよくわかるようになりました。非常に細かい、木片と思われる炭化物が多く混じっています。この上流部が、ひとつ前の写真です。
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2014.9月14日 ( HN:アブラコウモリH )
2016.10.23.追記
ダム満水のため、現在化石木群はすべて水没し、確認できるものは、AとC-4ポイントしか見えません。
その後、砂の堆積で埋没したもの、流失したものもあります。
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