前回Upした微細構造を際立たせる手法に関してブログでは文末に「明日以降、 原因調査を実施し、 自分の意志で光り輝く状態やその反対の状態を撮影出来る様になりたいと考えています。」と記しました。 今日はその続きとなる実験内容と、 そこで得られた知見について書いてみます。
繰り返しになりますが、Top写真では雪の結晶のダミーとなるプラスチック片にアイスピックを押し当てて出来たヒビ割れの様子です。 アイスピックを押し当てて出来た凹み部分を境にして左側の筋は白く光、 右側の筋は黒く見えます。 これは意図して撮影出来た物では無く、 自作した背面照射光源ユニットに光源反射タイプの赤色背景画像(折り紙)を置いて撮影した結果です。
青色の背景画像を背にしたダミー雪片の中に見られる白い筋状に見える微細構造
そもそもヒビ割れの筋が何故白く見えたり黒く見える様に写るのでしょうか?
微細なヒビ割れ構造を際立たせた写真にするために広範囲の視野の中からダミー雪片部分だけをトリミングしてしているために気が付きませんが、 ダミー雪片に照射される光は主要な2つの光源(背面照射ランプと表面照射ランプ)の他に撮影ユニット周辺に差し込む屋外からの光や室内照明ランプに依る光も影響しているのです。
そこで実験的に主要光源以外からの光が無視出来る様に室外からの光は遮光カーテンで遮断、 室内照明器具のスイッチはOffして撮影してみました。 そうした場合でも微細なヒビ割れ部分が白い筋として撮影出来てしまう状態が発生します。 よくよく観察すると、 背面照射光源ランプからの光や表面照射光源ランプの光線の当てかたに依って種々の表情を見せてくれると判りました。
つづいてご覧頂く写真に使ったダミーの雪片の代用品は
メーカー 3M社製
インクジェットプリンタ専用 A-One 品番 51181
ミシン目が入れられたプラスチック素材の印刷用紙 です
その印刷用紙を用い、 照射光による表情の違いをご覧頂きましょう。 なを点線状に並ぶ構造は印刷用紙に施されたミシン目の凹みです。
表面照射光源 OFF
表面照射光源 ON、 白色LED カラーフィルター 無し
表面照射光源 ON、 白色LED + カラーフィルター(Blue)
以上の三枚の写真から.ヒビ割れなどの微細構造部分に当たった
光の性質( 明度、色相) などが写真には反映されて写真に記録されると言えるでしょう。
ミシン目とヒビ割れ構造の太さの対比
しかしまた、 ヒビ割れの幅が極めて狭い場合、 人の目はそこに在る色情報よりも、 明暗差の方だけが強く意識されて、 「黒い線と白い線」の様に判断される可能性が有りそうだ・・・とも想いますが間違っているだろうか?
そうだとすれば背景画像が二つの色で描かれていた場合、 雪の結晶の内部における断面の変化(厚みの違い)はレンズ作用を生じ、カメラに届く結晶方向から届く光の性質は単純な背後の位置からの光とは言えず、 想定外の位置から発せられる拡散光の特徴(色相や明度)を持ってカメラに到達すると考えるのが合理的と言えるでしょう。
その事は以前からこのブログで頻繁に紹介しているおむすび型した結晶写真の色づきによって意識していた事でもあります。
とまあとりとめなく書き綴ってきたが結論は、 まもなくやって来るシーズンには表面照射光源ランプの従前以上の活用、 特に表面照射ランプ前面に置くカラーフィルター(透明フィルムに油性マジックインキで色を塗っただけ)の準備をして置く事にします。
参考画像 : 色紙のカラー画像(色相差)と白黒画像(明度差)