「今回の日食を我が家も観察しましたよ」との知らせと共に、「どんな風に計算して日食の正確な日時が判るのか、不思議ですね!」と書かれた友人からのメールが届いた。 僕だってそこら辺はどうなっているのか? 知りたくて、ちょいと調べて見ました。
古代から天文学者は観測により、太陽や月の動きは極めて正確な周期性を持っている事を知り、日食の様なイベントを記録し、それが周期的に見られる事を知りました。 その日蝕が発生する周期は古代の天文学者の名をとって、サロス周期と呼ばれ(1サロス周期は6585.3212日 : 約18年10日8時間)る間隔を置いて見られるそうだ。
しかしこの1サロス周期での次回の日蝕は地球を1/3回転ほど西にずれた地域に発生することが知られ、同一地域で同様な条件での日食が生じるのは、3サロス周期毎に繰り返される事も知られています。
Saros 136 系列で発生する日蝕
図で見るように、3・サロス周期で生じる月の影の通り道は上図の様な塩梅ですから、同一地点で観察出来るその日蝕の様子は毎回違った物になると判りますよね。
ところで、 日食が発生する原理ですが、「月齢が新月、つまり月が地球から見ると太陽と同じ方向にある」、そして「月が太陽の直前(黄道)を通過」すれば地球上には月の影落ち、 その月影に人々が住んでいれば、太陽が欠ける日食として見える。
地球が太陽を周回する黄道面、それと月が地球の周りを巡る軌道のある白道面は5°程度の傾きがあるので、新月の都度、月が太陽の真ん前を横切る事は無い。 月が黄道を横切るタイミングは地球を周回する周期(およそ30日弱)に2度ありますが、 そのタイミングと新月のタイミングが重なるのは概ね173日毎になるのだそうだ。 その結果、年に2回以上は地球上のどこかに日食が見えるエリアは発生しているのです。
Top写真で日蝕が見られる範囲を示す赤い色のエリア、それは月の影が通る地帯をしめしていますが、月の影は地球サイズに較べるとこの様に小さく、ある地点を影が通過するのも2時間程度(食の始まりから終わりまで)と短いものです。 だから地上の人々が日食を観察出来る機会は少なく、日食はたまにしか見られない(発生しない)と思い込んでいるだけなのです。
ところで、あるサロス周期(およそ18年)で発生する日蝕。 (例えばSacros136系列の図をしめしましたけれど)、同じ系列のサロス周期の日蝕が同じ様な経度の地域で日蝕として見えるのは3・サロス周期(54年)となっています。 「でも俺の60年の人生で、もう何回も日蝕を見たぞ!」、日蝕が「50何年の(3サロス周期)で見えるなんて長すぎないか?」と思う人も居るでしょう。 実は、サロス周期には223もの系列が有って、現在の所、その内の40本ほどの系列が日蝕を引き起こしつつある。そんな事で、60年のあなたの人生でも何回か日蝕を見るチャンスがあるのです。
今回マスコミが大騒ぎした金環日食、「金環」そんな特殊条件だから大騒ぎしたのでしょう。 そんなのが次に日本本土で見えるのは100年以上も先の話になるそうですね。
ココら辺の知識や情報は以下のWEBページで調べました。
NASA Eclipse Web Site
サロス周期表のリストやそれに基づく GIF画像のシミュレート動画なんかが
載っているページも面白いですし。
Wikipedia日本語版での ”サロス周期 ” の解説ページもお勧めです。
それからNASAからは5千年先までの日蝕データ資料が発売されているそうですよ。
ゴチャゴチャと書き綴ってきましたが... 天体運行の安定性・周期性、そして過去に記録された日食等の情報、そして日蝕が発生する周期性の発見。 そんなこんなで驚くほど正確に、 日食や月蝕の到来を予測出来るんですね。
山口大学の先生が日蝕の計算方法解説してくれているページもありました。
そこでは”特定の日食について、その開始や終了時刻、食分の計算など、日食の状況を知る計算”を解説し、エクセルでの計算方法も開示してくれてます。 暇と興味の在る方はどうぞ!!
あっ、そうだ! 今回の金環日食の様子を撮影した写真を送ってくれた知人がいます。写真の撮影者は送ってくれた知人の更に知人の息子さんとか。 薄い雲がかかった太陽ですが、月が丁度太陽の中心に来て、とても素敵な写真でした。
当日のブログ記事の文末に追加しておきましたのでご覧下さい。
ところで別件ですが :
、地震学者も、過去の歴史や地層の様子を調べて過去に発生した地震の様子を調べ、そこに何がしかの周期性を見出そうと努力したり、 地震の発生メカニズムとして、プレートテクトニクスに基づく地殻の動きで地震は発生すると解説して見せているけれど、 見出されるのは大雑把な周期性。それは摩擦力なんて不安定な地殻の動きに天体運行の様な規則性は期待すべくも無いんだから、当然といえば当然。 現状では地震発生の予測は年単位でも困難、 あるいは不可能だろうと思うしかないですね。