アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

タクツァン僧院~展望台への登山~

2011年10月12日 | Weblog
 この度のブータン旅行で最も気がかりだったことは、「タクツァン僧院を展望台から拝めるか否か」でした。
 タクツァン僧院は、ブータンに仏教を伝えた聖人「パドマ・サンババ(プナカ・ゾンのところでもふれました)」が、チベットから空飛ぶトラの背中に乗ってブータンを訪れた際に瞑想をしたところ。切り立った山の中腹にある。寺院の標高は、3,150m。私が人気者になった、ドチュラ峠と同じ高さ。
 ブータン仏教最大の聖地とされています。ですから、ブータンへ行ったからには、タクツァン僧院を見なければなりません。えっ?チベットのトラは、空を飛ぶのかって?トラは空を飛ぶでしょう!赤ちゃん以外は誰でも知っていることです。聖人にまつわる話では、トラに空を飛ばせるぐらいは簡単なことなのです。

 どうして展望台へ行けるかどうか気がかりだったか?実は、「椎間板狭窄症」とやらに悩まされておりまして、30m歩くと臀部筋がだるーくなり、スネから足にかけてしびれる。我慢して歩くと、だるさは痛みに変わり歩行不能に…。整形外科の医師は、「レントゲンの結果は、それほど深刻な状況ではありません。お薬を2週間分出しておきます」ということで、「2週間もすれば治っちゃうよ」といった感じ。それから、4か月。タクツァン僧院を目の前にして、足はしびれていた。臀部筋は痛かった。サイに背後からドツカレタわけでもないのに。
 そんな状況では、タクツァン僧院どころか、旅行自体が無謀だろうだって?ほ、ほ、ほっといてくれっ…。

 パロの中心部からバスで20分の、標高2,600mの地点から登りはじめます。タクツァン僧院(3,150m)まで行ったのでは、タクツァン僧院が見られない。そのため、僧院のある山の向かいの山にある展望台(標高3,000m)から観ようという作戦。400mの標高差…早い話が、「登山」です。ガイドブックによりますと、片道1時間。(のちに、添乗員氏は、「この登山は、片道1時間半ですね。報告書に書きます」と)

 椎間板狭窄症ながら、私には作戦がありました。「馬」です。展望台までの登山、歩かずに馬に乗って行くという手段があることを、旅行ガイドブックで知っていました。
 添乗員と、現地ガイドに、「馬!馬を頼む!」と注文。添乗員氏は、馬という手段を知らなかったため、多少狼狽ぎみでしたが快く引き受けてくれた。それもそのはず、学生時代は馬をやっていたのだと。競馬ではなく馬術。
 展望台までの馬の料金は、800円。これは安いです。8,000円でも私は馬に乗りましたねぇ。ただ、労働者の日当が600円の国ですから、彼らにとって、800円を出して馬に乗る人がいることは信じられないかも知れません。

 この馬での登山、登りはOKなのですが、下りは危険すぎるので馬には乗せないという。つまり、下りの1時間は自分の足で歩かなければならない…。
 さらに…雨天の場合、馬が滑るので登山客を乗せない…。

 そして、登山口に到着…折りからの雨は止みそうもなく…。(続く)