天ぷら三代目揚げアゲ日記

大久保天ぷら店三代目の日常の出来事、思いをつらつらと書きます

そっとさよなら

2024-01-30 06:39:00 | 2024
ある店の早朝にカギを開けにくる
おじさんが見えなくなった。
3日ぐらいして聞くと腰を悪くしたらしい。
元々悪そうだったけどもうダメなよう。
僕の前から見えなくなっただけで
おじさんの人生はまだまだ続く。
大変でしょうが頑張ってください。

生産者の方は年配の方が多く
気がつくと会わなくなったというのは
よくあることで「気がつくと」
というぐらいあまり気にも留めないけど
ひとりだけ印象に残ってる人がいる。

多分もうその人はこの世にはいない。

その人からキズ物の梅を貰ってから
会えば話をするようになった。
その時既に、癌を患ってて
治療をしながら午前は畑仕事、
午後は酒を飲みながら友達と将棋をしてる
と、楽しそうに話してくれた。

ある日
「最後の旅行に行く」と言ってきた。
コロナ禍だったけど
バスで土佐清水まで行くと。
いいですね〜と何の気なしに言って
後日会った時に聞いたら

凄く楽しかった。
出発してすぐマスクを外して酒飲んで
バスガイドさんに怒られた。

など、楽しそうに話していて
よかったですね〜と何の気なしに。

それからしばらくして
ふと気がつくと
おじさんに会わなくなった。

あの旅行、最後の旅行だった。

その旅にいっしょに行った
家族、友達はどんなだったのか。
旅行後どうなってどうなったのか。

僕はそんなことは知らず
おじさんは綺麗に去っていったなと、
カッコよかったなと思っている。

本人を少ししか知らない人にとって
僕もそうありたいなと思う。

朝から酒くさかったおじさん。
楽しい会話をありがとう。


今朝
腰を悪くしたおじさんが帰ってきてた。
全然良くない腰を押さえながら。

働いても休んでも大変。
生きるって深そうで浅いです。

コメント
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