オズマの部屋 -バス釣り・政治経済・クルマ等-

「バス釣り日記」が主題。色々な話題を中年オヤジが持論で展開。「真実は孤独なり」を痛感する日々。

『「若者はかわいそう」論のウソ』は,数学的である!

2010年10月15日 05時16分26秒 | オズマの読書感想文
 ボクはやはり,一般論と異なるものが好きだ。

 そこで標題の本を購入して読んでみた。

 その内容は,端的にいえば,「データの取り方を間違えたらアカン」「分母に注意せなアカン」というものだった。

 わかりやすい例でいえば,本書では大学生の就職難を「大学生という分母が飛躍的に増えた」として,具体的数字を挙げて,やはりオズマと同じく文部科学省を批判している。

 ボクが学生になったとき,大学進学率は30%に届くかどうかだった。18歳人口は180万人近く居たがそんなものだった。それがいまはどうだ。分母の18歳人口は120万人に届くかどうか。そこへ大学が乱立して,進学率は5割を超える。

 出口が多くなれば入り口は狭くなる。単純な問題なのだが,ことさらマスメディアは「就活の大変さ」をいかにも経済不況のせいにしている。大卒一括採用は減っていないことがちゃんとデータとしてあるにもかかわらず....。

 まあ,書き出すと,本書の内容と同じになってしまうので割愛するが,そんな折に「高校生で政権交代に期待しているのは3割」というインチキ報道が,また朝日新聞で報道された。このデータは,「高校生新聞」という会社が行ったデータをそのまま転用したものである。肝心なのは,「高校生新聞」の読者は,一般にかなり偏差値が低いレベルの高校にあることなのに(現地調査済)。

 はっきりいってしまうが,偏差値の低い高校は,やはり生徒の「やるき」に欠如しているところが多い。実際,その手の学校が,この大学全入時代にもかかわらず大学に行けないのは,「何もやりたくない」からなのだ。だからお金も得られないし,進学もできない。不思議と偏差値は,学力だけでなく他のものにも連関がある(これはオズマも体感してきた)。

 ここでの本質は,「高校生新聞」のデータがわるいのでなく,そのデータをそのまま転用し,さも「全国の高校生がそう思っている」という方向に世論を誘導しようとする朝日新聞の,ジャーナリズムに反する行動だ。調査するなら自分の足で調べるのが基本だろう。転用するなら,そのデータの「分母」がどこにあるのか明白にしなければいけないのに。

 そんな「議論の底が抜けている」話をわかりやすい,客観的なデータで検証したのが本書である。

 オズマも変人だが,まあ,騙されたと思って手にとってみてください。これは間違いなく「統計処理」がしっかりした本であることはたしかだから。その意味で数学的,といったのである。