刑務所は福祉の最後の砦
英国HMVは来店客を対象に、2,000以上の作品の中から「もっとも感動した映画」に投票してもらうという調査を行った。1位はフランク・ダラボン監督の「ショーシャンクの空に」であった。私には納得のいく結果だ。かつてこの映画を見て、私は映画監督という仕事を心底うらやましく思った記憶がある。
この映画は場面のほとんどが刑務所内というちょっと変わったものだが、本筋とは離れて、印象的なシーンがある。高齢となった黒人の受刑者が、出所してまもなく首を吊ってしまう場面だ。犯罪を犯した者が高齢になると、仕事にありつける可能性は低い。社会での居場所がなくなるのである。
「ショーシャンクの空に」の公開から13年後の07年9月4日、NHK「クローズアップ現代」は、刑務所を出所した知的障害者が、生活に困り、やむなく犯罪を犯して、再び刑務所に戻ってくる問題が取り上げた。
「犯罪不安社会」(浜井浩一、芹沢一也共著 光文社新書)は、メディアの描く治安悪化のイメージを犯罪統計から反論した好著だが、後半に刑務所の実態が語られている。後半の目次には「高齢化する刑務所」「老人・障害者・外国人」「労働力にならない受刑者たち」「刑務所は福祉の最後の砦」などの言葉が並ぶ。
「クロ現」は知的障害者を取り上げたが、「犯罪不安社会」では知的障害者だけでなくより広く、高齢者や外国人も対象にしている。
どちらも、刑務所が刑罰の執行場所から、社会に居場所のない人たちの収容場所に変わりつつある現状が明らかにされている。
関心のある方には、上記の本を一読されることをお薦めしたい。本書の前半は、メディアによって作られた治安悪化のイメージが如何に実際と乖離しているかを、十分な説得力をもって検証していて、読み応えがある。
英国HMVは来店客を対象に、2,000以上の作品の中から「もっとも感動した映画」に投票してもらうという調査を行った。1位はフランク・ダラボン監督の「ショーシャンクの空に」であった。私には納得のいく結果だ。かつてこの映画を見て、私は映画監督という仕事を心底うらやましく思った記憶がある。
この映画は場面のほとんどが刑務所内というちょっと変わったものだが、本筋とは離れて、印象的なシーンがある。高齢となった黒人の受刑者が、出所してまもなく首を吊ってしまう場面だ。犯罪を犯した者が高齢になると、仕事にありつける可能性は低い。社会での居場所がなくなるのである。
「ショーシャンクの空に」の公開から13年後の07年9月4日、NHK「クローズアップ現代」は、刑務所を出所した知的障害者が、生活に困り、やむなく犯罪を犯して、再び刑務所に戻ってくる問題が取り上げた。
「犯罪不安社会」(浜井浩一、芹沢一也共著 光文社新書)は、メディアの描く治安悪化のイメージを犯罪統計から反論した好著だが、後半に刑務所の実態が語られている。後半の目次には「高齢化する刑務所」「老人・障害者・外国人」「労働力にならない受刑者たち」「刑務所は福祉の最後の砦」などの言葉が並ぶ。
「クロ現」は知的障害者を取り上げたが、「犯罪不安社会」では知的障害者だけでなくより広く、高齢者や外国人も対象にしている。
どちらも、刑務所が刑罰の執行場所から、社会に居場所のない人たちの収容場所に変わりつつある現状が明らかにされている。
関心のある方には、上記の本を一読されることをお薦めしたい。本書の前半は、メディアによって作られた治安悪化のイメージが如何に実際と乖離しているかを、十分な説得力をもって検証していて、読み応えがある。