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日本水泳連盟とメーカー3社の関係・・・不公正な護送船団方式では?

2008-06-12 09:05:51 | Weblog
『日本選手もLRを着て泳いでいれば何の問題もなかったが、日本固有の「壁」が立ちふさがった』-6月8日の毎日新聞社説はこのように述べ、日本水連が使用水着を決定するシステムを日本固有と表現しています(水着の選択は、ドイツはアディダス社から、米豪は自由だそうです)。しかしこのシステムに対する論評は何故か皆無です。

 ジャパンオープンの3日間でスピード社の優位性は明らかになり、日本水連はやむなく北京五輪限定で3社以外の水着使用を認める措置を決定しました。北京以外の大会については今後検討するということですが、水連の方針に背けば出場させないとはなんとも強い支配です。

 3社は日本水連の依頼を受け、改良された水着を短期間で準備しましたが、成果は確認されず、スピード社との技術水準の差が明白になりました。

 3社は1社につき500万円の契約金、大会などの支援などを含めると数千万円を負担していると言われています。そして日本水連は主要大会で、3社以外の水着の着用を認めませんでした。日本水連は特権を3社に与えてきたわけです。

 おかげで3社は激しい競争にさらされることなく地位に安住できたわけです。しかしそのために開発の努力を怠り、外国メーカーに差をつけられた可能性はないでしょうか。護送船団方式と呼ばれた、手厚い保護行政に守られた銀行が競争力を失ったように。

 3社からの金品などの提供の見返りに他メーカーを排除し、競争を制限することは不公正であるだけでなく、歪みをもたらします。このような日本水連と特定メーカーとの関係は、日本水連とメーカーとの癒着の温床にもなり得ます。もちろん現在の日本水連は、不祥事を起こしたスケート連盟とは異なり、1点の曇りもない潔癖な方ばかりだと信じていますが。

 日本水連は文部科学省所管の財団法人です。予算規模は約13億6000万円(07年度)、日本の水泳界の頂点に立つ組織で、補助金も約2億2000万受けています。大会への出場の可否など、選手に対して優越的かつ独占的な位置を占める公益法人であり、公平・公正さが強く要求されます。それだけに選手の選択の自由を奪ってまで特定企業を優遇するやり方には違和感があり、またスポーツの商業化にも一役買っているものと思われます。

 不思議なのは、マスメディアはスピード社の水着問題を大きく取り上げているにも関わらず、「日本固有」のシステムに対して何の問題意識も示さないことです。選手が自分で水着を選択することが許されないシステムはあたりまえで、それはメディアの世界でも常識なのでしょうか。

 このシステムに違和感を覚えるのは部外者だけなのでしょうか。選手が自由に選べることこそ「あたりまえ」だと思うのですが。