政権放棄が続く理由・・・優れた政治家が育たない環境
権力者とは、欲しいままに甘い蜜を貪(むさぼ)り、やめろと言われようが意に介さず地位にしがみつく強欲な人物、というイメージが私にはありました。しかし2年続いて起きた首相の政権放棄によってそのような権力者のイメージを変えざるを得ません。
きつい仕事と重い責任を伴う首相の仕事には優れた識見や理念はむろんですが、鉄面皮のしたたかさが必要なのでしょう。それはさて措き、ここでは連続して政権放棄が起こった背景を政治家の資質という観点から考えてみたいと思います。
二世、三世の政治家が多いという事実は外部の世界から政治家を目指す有能な人間が少ないことを示唆しています。外部からの参入の困難さもあると思いますが、外部からの志望者の減少は優れた政治家を選ぶのに必要な選抜のメカニズムが十分働かないことを意味し、それは政治家の質の低下を招きます。
昔の権力者は政治権力はもちろん、財産やハーレムまで手に入れることができました。当然、多くの有能な人間が激しく競争したことでしょう。ところが現代の首相は一定期間だけの、しかも部分的な権力であり、魅力の大きさは比較になりません。その限られた魅力のなかでは名誉が大きい位置を占めます。ところがマスコミは批判するのが仕事とばかりに攻めたてるので、その名誉も逆に傷つくことが少なくありません。
小泉元首相の改革は極度に悪化した財政の建直しに道を開きましたが、一方で格差の拡大を招いたとされています。しかし取り上げられるのは圧倒的に格差拡大の方であり、財政の健全化が評価されることはほとんどありません。経済の活性化と格差拡大は新自由主義政策のもつ両側面です。どんな政策でも正の面と負の面があり、どちらを取り上げるかによってイメージは自在に変えられます。
最近、官僚の主な供給源であった東大法学部では官僚を選ぶ学生が少なくなっているそうです。官僚や政治家に魅力を感じなくなっているためでしょう。官僚や政治家を目指す若者が多くなるように、もっと魅力を増やす必要がありましょう(官邸にハーレムを併設するのは無理でしょうけど)。官僚と政治家は全国民に重大な影響を与える最も重要な仕事ですから、優れた人材を集め育てることは大変重要な課題だと思います。松下政経塾はそうした試みのひとつでした。
マスコミも官僚や政治家を批判するばかりでなく、評価すべきは評価するという是々非々の姿勢をとれば、長期的には優れた政治家を育てることになると思います。叩くばかりで、官僚や政治家のイメージをこうも悪くしていては、志をもつ多くの若者が政治家を目指すことはないでしょう。
権力者とは、欲しいままに甘い蜜を貪(むさぼ)り、やめろと言われようが意に介さず地位にしがみつく強欲な人物、というイメージが私にはありました。しかし2年続いて起きた首相の政権放棄によってそのような権力者のイメージを変えざるを得ません。
きつい仕事と重い責任を伴う首相の仕事には優れた識見や理念はむろんですが、鉄面皮のしたたかさが必要なのでしょう。それはさて措き、ここでは連続して政権放棄が起こった背景を政治家の資質という観点から考えてみたいと思います。
二世、三世の政治家が多いという事実は外部の世界から政治家を目指す有能な人間が少ないことを示唆しています。外部からの参入の困難さもあると思いますが、外部からの志望者の減少は優れた政治家を選ぶのに必要な選抜のメカニズムが十分働かないことを意味し、それは政治家の質の低下を招きます。
昔の権力者は政治権力はもちろん、財産やハーレムまで手に入れることができました。当然、多くの有能な人間が激しく競争したことでしょう。ところが現代の首相は一定期間だけの、しかも部分的な権力であり、魅力の大きさは比較になりません。その限られた魅力のなかでは名誉が大きい位置を占めます。ところがマスコミは批判するのが仕事とばかりに攻めたてるので、その名誉も逆に傷つくことが少なくありません。
小泉元首相の改革は極度に悪化した財政の建直しに道を開きましたが、一方で格差の拡大を招いたとされています。しかし取り上げられるのは圧倒的に格差拡大の方であり、財政の健全化が評価されることはほとんどありません。経済の活性化と格差拡大は新自由主義政策のもつ両側面です。どんな政策でも正の面と負の面があり、どちらを取り上げるかによってイメージは自在に変えられます。
最近、官僚の主な供給源であった東大法学部では官僚を選ぶ学生が少なくなっているそうです。官僚や政治家に魅力を感じなくなっているためでしょう。官僚や政治家を目指す若者が多くなるように、もっと魅力を増やす必要がありましょう(官邸にハーレムを併設するのは無理でしょうけど)。官僚と政治家は全国民に重大な影響を与える最も重要な仕事ですから、優れた人材を集め育てることは大変重要な課題だと思います。松下政経塾はそうした試みのひとつでした。
マスコミも官僚や政治家を批判するばかりでなく、評価すべきは評価するという是々非々の姿勢をとれば、長期的には優れた政治家を育てることになると思います。叩くばかりで、官僚や政治家のイメージをこうも悪くしていては、志をもつ多くの若者が政治家を目指すことはないでしょう。