噛みつき評論 ブログ版

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恥の上塗り「適材適所」

2012-02-09 10:39:19 | マスメディア
 田中防衛相の素人ぶりを示す場面をマスコミはニュースなどで競って取り上げています。マスコミが国会でもっとも興味深いと思うのは重要な議論などではなく、どうやら大臣などのエライ人が失言や無知無能などみっともない姿を披露したときのようです。

 初めは面白く見ていましたが、前例をまねて知識を試すような質問をする議員が次々と現れてくると飽きてきて、ついには見苦しくなりました。ほとんど抵抗できない人物に対する、よってたかってのいじめと見えるからです。調子に乗って、枝葉末節の知識を問う質問者には不快感を覚えます。

 まあそれでも田中氏が防衛相にふさわしくない人物であることは十分明らかになったと言えるでしょう。一川前防衛相に続いて2回目です。野田首相の「適材適所」はご丁寧にもウソであったことが2度も証明されたわけです。恥の上塗りですね。

 首相は閣僚の任命権をもち、彼らに政策の実行を分担させるわけですから、任命の意味は重大です。無能な素人を大臣に任命することは、その担当分野はどうでもいいと思っているに等しいわけです。

 あるいは首相が、この人物なら立派に職責を果たしてくれるだろうと、勘違いして任命したのかもしれません。しかし2度も勘違いが続けば、それは首相に見る目がないことの証明となります。

 さらに、無能であることはわかっているが派閥均衡のために任命した、という可能性があります。それならば民主党の構造自体がおかしいことになります。

 最後にもうひとつの可能性、首相に同情しなければなりませんが、それは民主党には有能な人がいない、ということです。まあそれらのいずれであっても、明るい希望に胸が膨らむような気持ちにはなりません。

 「個別の案件については答えを差し控える」などの二つの言葉で国会は切り抜けられると言ったのは柳田元法相ですが、法務大臣ならまだそれでもよいかもしれませんが、防衛相が無能なら長年巨額の予算を費やして築いてきた抑止力が台無しになります。いかに優れた兵器を保有していても、組織のトップが無能であると知られれば、敵に攻撃への誘惑を生じさせ、自ら戦争の種を蒔くことになりかねません。

 防衛相の任命は実に大事な問題なのですが、首相に対するマスコミの批判はあまり強くありません。JR西日本の脱線事故や明石の歩道橋事故などのように過失に基づく事故責任の追求には異常な熱心さを示すのに対し、この寛容さ(本当は鈍感さ?)はずいぶん不思議な気がします。