噛みつき評論 ブログ版

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経済学と政治学の「効能」

2012-11-05 10:08:57 | マスメディア
 イタリアで地震予知に失敗した学者ら7人が6年の禁錮刑を受けるというニュースがありました。東日本大震災の時期も想定の数十倍という規模も全く予測できなかった日本の地震学者はさぞ肝を冷やしたことでしょう。イタリアの過激な判決の可否はともかく、地震学の有効性に厳しい目が注がれるようになりました。これを機会に世に存在する数多の「なんとか学」の有効性について考えてみるのもよいと思います。

 例えば新自由主義に染まった経済学。この30年間、新自由主義は社会に大きい影響を与えました。むろん功績もあったでしょうが、格差拡大や経済システムの不安定化という大きな問題を残しました。異論はあると思いますが、これを推し進めた経済学者たちの責任がないとは言えません。

 次は政治学ですが、政治学が得た知見によって日本の政治システムが改良され、政治がよくなったとは寡聞にして存じません。それどころか政治の劣化が目立ちます。素人の私でも知っているただひとつの成果は、政治学者たちの強い働きかけによって実現した小選挙区制が"あの"鳩山民主党政権を誕生させたことと、その小選挙区制が政治家の質の低下をもたらした可能性があるということだけです・・・失礼ながら。

 我々が地震学以外の自然科学、つまり物理、化学、生物学、医学などから計り知れない恩恵を受けてきたことを考えると、経済学や政治学の有効性に疑問を感じずにはいられません。むろんそれは扱う対象の違いによることはわかりますが。

 経済学と政治学を含む法学は文系の実学の中では代表的なもので、恐らく日本だけで毎年10万人を超える経済学や法学の学士様が誕生していると思われ、学者・教職員も多数に上ります。はたして経済学や法学には膨大な数の学生が学ぶだけの、そして多数の学者が研究するだけの価値があるのでしょうか。

 もしかすると経済学や法学の最大の存在理由は大学にあるのかもしれません。多数の大学の存立とその教職員の雇用のために大いに役立っていることだけは疑いのない事実であります。

 すべての学問が世の役に立たなければならないなどと言うつもりはありません。探求すること自体が楽しいものもあり、好奇心を満たしてくれるものも数多くあります。しかし実学である経済学や法学を楽しく学ぶ人は少数であると思われます。

 大学の数は800ほどもあるそうです。それぞれが特徴をだす必要があり、そのためにはなんとか学が多いほうがよろしいわけで、学士の種類は以前の29種類から580種類ほどにも増えたそうです。つまり、学問というものは何よりも大学のためにある、と言っても過言ではなさそうです(少なくとも文系に関しては)。

 まあ地震学者の言うことを信じた方も悪いわけですが、その背景には学問や専門家に対する過剰な期待・信頼があったように思います。地震学に限らす、信頼できない学問や専門家は決して少なくありません。そのような認識が広がれば大学への過大な期待も是正されることでしょう。

 メディアもこのように表現したらよいと思います。
「〇〇学の権威、□□教授は△△であると主張していますが、信頼できるとは限りません。各自で判断してください」