日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は従来より大幅に緩和した健康の基準値を発表しました。
収縮期血圧 129→147 拡張期血圧84→94
中性脂肪 (男)149→178 (女)149→152~185
総コレステロール (男)199→254 (女)199→238~280
(数値が範囲で表されているのは年齢による差を設けているため)
他に肥満度BMIや肝機能のALT、空腹時血糖値なども緩和されています。気になる人にとっては朗報と言えるでしょう、しかし・・・。
発表の根拠について、朝日新聞は次のように説明しています。
『学会は2011年に人間ドックを受けた約150万人のうち、たばこを吸わずに持病がないなどの条件を満たす約34万人を『健康な人』とした。そこから5万人を抽出して27の検査項目の値をみた。その結果、従来は129以下を『異常なし』としていた収縮期血庄は、147でも健康だった。84以下が『異常なし』だった拡張期血圧も94で健康だった。』
これは『健康な人』の集団では収縮期血庄が147でも健康だったから、それを基準値にしたと理解できますが、疑問を感じる方は少なくないでしょう。血圧やコレステロールの値の異常は将来の健康を損ねるかも知れない要因であって、現在の健康状態を直接反映するものではないと思われるからです。従って単年度だけの調査から基準値を決めるのは無理であり、長期にわたる追跡調査が必要であると思われます。
主要紙、NHKも同様な説明であり、疑問を拭うことはできません。この記事を書いた記者たちは何の疑問も持たなかったのでしょうか。これでは子供の使いです。左から右ではなく、読者・視聴者が納得できるような報道をするのがメディアの仕事だと思うのですが。
日本人間ドック学会のサイトを見ると4月7日付で「4月4日報道機関へ公表した内容について」という記載があり、その中に以下のような記述があります。
「現在のデータは単年度の結果であり、今後数年間さらにデータ追跡調査をして結論を出していくことになります。従いまして今すぐ学会判定基準を変更するものでなく、厚生労働省には特定健診の保健指導基準が性別、年齢別によって数値が違うものがあるという事実を報告した段階であることをご理解いただきたいと考えております」
4月4日発表の「新たな健診の基本検査の基準範囲」は中間報告であり、確定したものではないと3日後に発表しています。メディアの記事の誤りに気づいてすぐに出したのだと思われます。発表にも問題がありますが、ほとんどのメディアが正確に伝えなかったわけです。しかしその後の訂正は見あたりません。
しかしこれで疑問は解けました。実は4月4日の「新たな健診の基本検査の基準範囲」にも「今回のいわゆる健康人のデータを5~10年間追跡調査を行い、基準範囲の妥当性を検討する必要がある」と書かれています。結果に期待したいですが。
基準値を厳格化すれば「病人」が増加し、緩和すれば減少します。基準血圧を10mmHg下げると数百万人の「病人」新たに生まれるわけです。現在の基準では国民の3分の1、約4000万人が高血圧症だとされます。病人が増えて喜ぶのは医療業界と製薬業界、困るのは健康保険組合です。健康保険組合連合会は今回の基準値発表の片割れですから、病人を減らしたいという健保連の思惑が働いたと邪推したくなります。まあ業界の力関係で基準値が変わるというのも困りますが。
収縮期血圧 129→147 拡張期血圧84→94
中性脂肪 (男)149→178 (女)149→152~185
総コレステロール (男)199→254 (女)199→238~280
(数値が範囲で表されているのは年齢による差を設けているため)
他に肥満度BMIや肝機能のALT、空腹時血糖値なども緩和されています。気になる人にとっては朗報と言えるでしょう、しかし・・・。
発表の根拠について、朝日新聞は次のように説明しています。
『学会は2011年に人間ドックを受けた約150万人のうち、たばこを吸わずに持病がないなどの条件を満たす約34万人を『健康な人』とした。そこから5万人を抽出して27の検査項目の値をみた。その結果、従来は129以下を『異常なし』としていた収縮期血庄は、147でも健康だった。84以下が『異常なし』だった拡張期血圧も94で健康だった。』
これは『健康な人』の集団では収縮期血庄が147でも健康だったから、それを基準値にしたと理解できますが、疑問を感じる方は少なくないでしょう。血圧やコレステロールの値の異常は将来の健康を損ねるかも知れない要因であって、現在の健康状態を直接反映するものではないと思われるからです。従って単年度だけの調査から基準値を決めるのは無理であり、長期にわたる追跡調査が必要であると思われます。
主要紙、NHKも同様な説明であり、疑問を拭うことはできません。この記事を書いた記者たちは何の疑問も持たなかったのでしょうか。これでは子供の使いです。左から右ではなく、読者・視聴者が納得できるような報道をするのがメディアの仕事だと思うのですが。
日本人間ドック学会のサイトを見ると4月7日付で「4月4日報道機関へ公表した内容について」という記載があり、その中に以下のような記述があります。
「現在のデータは単年度の結果であり、今後数年間さらにデータ追跡調査をして結論を出していくことになります。従いまして今すぐ学会判定基準を変更するものでなく、厚生労働省には特定健診の保健指導基準が性別、年齢別によって数値が違うものがあるという事実を報告した段階であることをご理解いただきたいと考えております」
4月4日発表の「新たな健診の基本検査の基準範囲」は中間報告であり、確定したものではないと3日後に発表しています。メディアの記事の誤りに気づいてすぐに出したのだと思われます。発表にも問題がありますが、ほとんどのメディアが正確に伝えなかったわけです。しかしその後の訂正は見あたりません。
しかしこれで疑問は解けました。実は4月4日の「新たな健診の基本検査の基準範囲」にも「今回のいわゆる健康人のデータを5~10年間追跡調査を行い、基準範囲の妥当性を検討する必要がある」と書かれています。結果に期待したいですが。
基準値を厳格化すれば「病人」が増加し、緩和すれば減少します。基準血圧を10mmHg下げると数百万人の「病人」新たに生まれるわけです。現在の基準では国民の3分の1、約4000万人が高血圧症だとされます。病人が増えて喜ぶのは医療業界と製薬業界、困るのは健康保険組合です。健康保険組合連合会は今回の基準値発表の片割れですから、病人を減らしたいという健保連の思惑が働いたと邪推したくなります。まあ業界の力関係で基準値が変わるというのも困りますが。