一冊の本が世の中を変えるほどの力を持つことがあります。例えばダーウィンの「種の起源」はキリスト教の世界観を根底からひっくり返すほどのインパクトがありました。またマルクスの「資本論」は政治体制の革命を引き起こしました(功も罪も巨大でしたが)。最近のベストセラー、トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本」はそれらに近い影響力を持つものかも知れません。
1月から2月にかけNHK-Eテレで「パリ白熱教室 トマ・ピケティ講義」が6回放送されました。とてもわかりやすく興味深い内容で、私が学生の頃、こんな講義をしてくれる先生がいたらもっと授業に出ていたのになぁ、なんて感慨深く考えてしまいました(不勉強の言い訳とも言えますが)。放送は終了しましたが、ユーチューブで「パリ白熱教室」と検索すれば見ることができます。
一言でいえば、彼は格差が拡大するという資本主義の性格を過去の事実から実証したわけですが、同時に資産と所得が大きく偏って分布していることに光を当てることになりました。とりわけ米国では上位10%の人たちが資産の70%を所有するなど、資産の極端な偏在は今まであまり知られていなかったと思われます。
彼は「あまりにも長きにわたり、経済学者たちは富の分配を無視してきた」「最初の結論は、富と所得の格差についてのあらゆる経済的決定論に対し、眉にツバをつけるべきだというものとなる」と序文で述べています。
今だから素人の私にも言えるのですが、なぜ経済学が富の分布状態に目を向けてこなかったのか、不思議です。社会を経済的な側面から研究しようとするのが経済学ならば、富の分布状態を明らかにするのは基本的なことだと思うからです。少なくとも、ごまんといる経済学者の数が足りなかったわけではないでしょう。「20世紀の資本」がベストセラーになり、賞賛されたのは従来の経済学の方向性が大きくずれていたからだと考えてもよいでしょう。
データの収集などに15年も費やした「21世紀の資本」は日本で13万部、世界では150万部も売れたと言われています。この種の本としてはベストセラーだそうです。一方、口述したものを短時間で本にした「バカの壁」は朝日・毎日・読売が絶賛し400万部以上の大ベストセラーになりました。比べるのも失礼な気がしますが、部数と価値は全く比例しないという好例です。
1月から2月にかけNHK-Eテレで「パリ白熱教室 トマ・ピケティ講義」が6回放送されました。とてもわかりやすく興味深い内容で、私が学生の頃、こんな講義をしてくれる先生がいたらもっと授業に出ていたのになぁ、なんて感慨深く考えてしまいました(不勉強の言い訳とも言えますが)。放送は終了しましたが、ユーチューブで「パリ白熱教室」と検索すれば見ることができます。
一言でいえば、彼は格差が拡大するという資本主義の性格を過去の事実から実証したわけですが、同時に資産と所得が大きく偏って分布していることに光を当てることになりました。とりわけ米国では上位10%の人たちが資産の70%を所有するなど、資産の極端な偏在は今まであまり知られていなかったと思われます。
彼は「あまりにも長きにわたり、経済学者たちは富の分配を無視してきた」「最初の結論は、富と所得の格差についてのあらゆる経済的決定論に対し、眉にツバをつけるべきだというものとなる」と序文で述べています。
今だから素人の私にも言えるのですが、なぜ経済学が富の分布状態に目を向けてこなかったのか、不思議です。社会を経済的な側面から研究しようとするのが経済学ならば、富の分布状態を明らかにするのは基本的なことだと思うからです。少なくとも、ごまんといる経済学者の数が足りなかったわけではないでしょう。「20世紀の資本」がベストセラーになり、賞賛されたのは従来の経済学の方向性が大きくずれていたからだと考えてもよいでしょう。
データの収集などに15年も費やした「21世紀の資本」は日本で13万部、世界では150万部も売れたと言われています。この種の本としてはベストセラーだそうです。一方、口述したものを短時間で本にした「バカの壁」は朝日・毎日・読売が絶賛し400万部以上の大ベストセラーになりました。比べるのも失礼な気がしますが、部数と価値は全く比例しないという好例です。