噛みつき評論 ブログ版

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新聞が扇動者

2015-07-20 09:02:11 | マスメディア
 この数日、朝日新聞は全社を挙げて安保法案に反対しているようです。大きな組織なのにその結束力はたいしたもので、まるで全体主義国か、戦前の軍部のようです。全員が同一の方向を向いているとは考えにくいので、反主流派は自由に発言できない雰囲気があるのでしょう。見事ですが、権力をもつ集団だけに不気味です。

 それにしても紙面はよく出来ていて、世間知らずの人や歴史を知らない人、中学生などが読むと、安倍政権は皆の反対を押し切って戦争をしかけようとしている極悪政権であると信じてしまうでしょう。外国からの脅威や抑止力には全く触れず、戦争になる、徴兵制になる、などと脅かされれば反対したくなるのは自然です。安保法案に賛成の意見もある筈ですがほとんど見あたりません。少数意見の尊重は朝日がよく言うことですが、都合よく無視されているようです。

 一方で、中国が東シナ海の日中中間線の中国側海域で建設しているガス田開発のための海洋プラットホームが12ヶ所に急増し、軍事利用が懸念されていることは沈黙しています。中国の膨張を印象づけると安保法案反対の機運が殺がれるとの思いがあるのでしょう(読売と産経が報道)。

 一方、日本の安保法案に対する太平洋諸国の反応を産経(7/16)が載せています。それによると米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドはもちろん、モンゴル、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、ブラジル、コロンビア、メキシコまで歓迎や支持あるいは理解を示しています。中国に対する抑止力として平和と安定に寄与するものと思っているのでしょう。否定的なのは中国と韓国だけです。

 中国と韓国以外は肯定的であることを朝日は黙殺していますが、興味深いことは安保法案に関しても朝日は中韓に同調しているという事実です。韓国の反対は日本のやることはとにかく気に入らないためでしょうが、中国は仮想敵国であり、朝日が仮想敵国と同じ立場というのは奇妙です。

 中国は膨張政策を邪魔するものに反対するのでしょう。逆に言えばこれは安保法案が中国の膨張を抑止する力として有効である可能性を示します。したがって朝日が安保法案に反対すれば中国の国益にかなうことになります。

「日米安保条約改定、PKO協力法、周辺事態法…と、政府はいつも朝日の主張と逆の選択をして正解だった」
これはある外務省幹部のセリフとして18日の産経抄に載ったものです。

 戦後、朝日は間違った煽動を繰り返し、失敗を繰り返してきました。ブレないといえば聞こえがいいですが、環境の変化に適応しなかっただけのことです。方向性は変わったものの煽動体質は戦前も同じです。積極的に戦争を煽る姿勢で販売を大きく伸ばし、販売首位を達成したのは朝日でした。

 前回と重なりますが、マスメディアが自社の主張に合わせて報道を曲げることには有権者の自主的判断を奪う行為であり、国民主権を否定することです。本来のマスメディアの仕事は朝日の綱領にあるように「不偏不党」の立場から情報を提供することであって、メディアの考えに従わせることではありません。これを報道機関の基本的なモラルとして強く意識する必要がありましょう。我々はちょっと寛大すぎたようです。