安倍首相の指示によって携帯電話料金を引き下げ議論が始まりました。政府が民間企業の決める価格に口を出すのは異例のことです。一般に、公共的な性格の事業を除き、市場にまかせていればよい結果が得られると思われてきたからです。
携帯電話大手3社のデータ通信料金は2GB/月で3社とも月額3500円、これに対して格安スマホ(MVNO 仮想移動体通信事業者)では3GB/月で月額900円前後となっているので、大手3社の割高感は否めません。通話も含めると話が複雑になるのでここでは触れませんが、通話が少ない人であれば半分~1/3になったという話は珍しくありません。
一方、15年度の営業利益ランキングで、ソフトバンクが3位、KDDIが4位、ドコモが7位と携帯電話大手3社は常に上位を占め、営業利益合計は約2兆3千6百億円もあります。しかしその裏には料金体系を複雑化し、利用者が簡単に理解できないようにしたり、悪名高い2年縛りを全社が「協調」して採用する、長年の固定客からの収益を乗り換え客優遇の資金にするなど、高いモラルを持つ業界だとはお世辞にも言えません。固定客からの収益で新規客を優遇するのは新聞社と同じですが、どちらも不公正な収益構造です。
表面的には激しい競争をしているように見えますが、競争は限定的であり、料金は高止まり、結果としては3社が仲良く繁栄を謳歌してきたわけです。携帯電話は今ではインフラと言ってもよく、電力や水道、ガスのように公共的な性格が強い事業です。電力やガスの会社がコストからかけ離れた高い料金で、巨額の利益をあげていれば、当然問題になります。本来のコストの低さは格安スマホの料金を見ればわかります。
○○割引という制度がいくつもありますが、結果として払う料金は高いものになっていました。3社から選択できるといっても、料金がほぼ同じでは競争原理が働いてないのと同じです。安倍首相の指示はそのような事情を問題視した上のことであったのでしょう。市場原則にとらわれない現実的な対処であり、評価できます。3社は独占ではないにせよ、協調的な寡占体制によって巨額の利益を得ていたと考えられます。教科書に載っている自由な競争という概念は現実にはなかなか存在しないという例でありましょう。
技術的な差が顕著にあるわけでなく、サービスの内容も似たり寄ったり、しかもカルテルがあるわけでもない(とされている)のに価格が高止まりした事実は自由な市場という教科書的概念を考える上で重要です。このような弊害を防ぐために作られた独占禁止法が事実上機能しなかったわけです。メディアの無関心も3社には心地よいものであったでしょう。
また私企業の価格に政府が介入したことに対し、意外にも新自由主義の経済学者たちは強い反対をしませんでした。これは数十年間、世界を席巻した新自由主義の退潮を示すものとも受け取れます。彼らは新自由主義の退潮をいち早く感じ取り、静かにしているのが最善と思ったのかもしれません。
格安スマホは使い方などで販売店のサービスを受け難く、自分で解決しなければならないので普及は一気に進みませんが、その大きな価格差によって拡大し続けることでしょう。現在の3社体制の天下はそう長くは続かない可能性があります。驕れる者久しからず、となるのでしょぅか。
携帯電話大手3社のデータ通信料金は2GB/月で3社とも月額3500円、これに対して格安スマホ(MVNO 仮想移動体通信事業者)では3GB/月で月額900円前後となっているので、大手3社の割高感は否めません。通話も含めると話が複雑になるのでここでは触れませんが、通話が少ない人であれば半分~1/3になったという話は珍しくありません。
一方、15年度の営業利益ランキングで、ソフトバンクが3位、KDDIが4位、ドコモが7位と携帯電話大手3社は常に上位を占め、営業利益合計は約2兆3千6百億円もあります。しかしその裏には料金体系を複雑化し、利用者が簡単に理解できないようにしたり、悪名高い2年縛りを全社が「協調」して採用する、長年の固定客からの収益を乗り換え客優遇の資金にするなど、高いモラルを持つ業界だとはお世辞にも言えません。固定客からの収益で新規客を優遇するのは新聞社と同じですが、どちらも不公正な収益構造です。
表面的には激しい競争をしているように見えますが、競争は限定的であり、料金は高止まり、結果としては3社が仲良く繁栄を謳歌してきたわけです。携帯電話は今ではインフラと言ってもよく、電力や水道、ガスのように公共的な性格が強い事業です。電力やガスの会社がコストからかけ離れた高い料金で、巨額の利益をあげていれば、当然問題になります。本来のコストの低さは格安スマホの料金を見ればわかります。
○○割引という制度がいくつもありますが、結果として払う料金は高いものになっていました。3社から選択できるといっても、料金がほぼ同じでは競争原理が働いてないのと同じです。安倍首相の指示はそのような事情を問題視した上のことであったのでしょう。市場原則にとらわれない現実的な対処であり、評価できます。3社は独占ではないにせよ、協調的な寡占体制によって巨額の利益を得ていたと考えられます。教科書に載っている自由な競争という概念は現実にはなかなか存在しないという例でありましょう。
技術的な差が顕著にあるわけでなく、サービスの内容も似たり寄ったり、しかもカルテルがあるわけでもない(とされている)のに価格が高止まりした事実は自由な市場という教科書的概念を考える上で重要です。このような弊害を防ぐために作られた独占禁止法が事実上機能しなかったわけです。メディアの無関心も3社には心地よいものであったでしょう。
また私企業の価格に政府が介入したことに対し、意外にも新自由主義の経済学者たちは強い反対をしませんでした。これは数十年間、世界を席巻した新自由主義の退潮を示すものとも受け取れます。彼らは新自由主義の退潮をいち早く感じ取り、静かにしているのが最善と思ったのかもしれません。
格安スマホは使い方などで販売店のサービスを受け難く、自分で解決しなければならないので普及は一気に進みませんが、その大きな価格差によって拡大し続けることでしょう。現在の3社体制の天下はそう長くは続かない可能性があります。驕れる者久しからず、となるのでしょぅか。