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一か八かの都知事選挙

2016-07-17 23:02:16 | マスメディア
 都知事選挙の勝敗はどれだけテレビで顔が売れているか、で決まるといっても過言ではないでしょう。過去の知事は問題が多い人が多く、知事にふさわしい有能な人を選ぶということがとても困難であるようです。一か八かの選択です。有能であってもテレビで顔が売れていない人は資格がないのと同じです。

 青島幸雄氏や舛添要一氏、さらに大阪ではあの横山ノック氏など、ふさわしからぬ人物を挙げるのは簡単です。ノック氏に至っては2回も当選した挙句、強制わいせつ事件を起こし辞めざるを得ませんでした。まさに前代未聞です。これらは選挙というシステムの妥当性を強く疑わせるものです。

 これほど問題の多い知事が選ばれてきたという事実は、問題がないだけで無能な知事も選出してきた可能性があります。知事は都民や府県民による選挙で選ばれますが、そのシステムそのものに問題があると考えるべきでしょう。民主的に選ばれればいいというものではないわけです。重要なのは選出方法より、いかにふさわしい人物を知事に選ぶかです。

 組織の長を決める方法は様々です。例えば、多くの国立大学の学長は学内組織関係者からの推薦により、学内選挙等を実施し、その結果を参考にして、学長選考会議が学長を選考するそうです。株式会社の代表取締役は取締役会で選任されます。双方とも多くの場合、選ぶ者が候補者をよく知っており、選ぶ者は少数です。

 これに対して民主的な知事選挙では一般に選挙民が候補者を知るのはマスコミが提供する情報だけです。その情報に基づいて判断した結果が今までの信頼できない選挙結果であります。個人は様々ですが、選挙民という集団として捉えればその特性は平均化され、安定した性格をもつ集団として見ることができます。

 つまり集団としての行動(y)は情報に対するひとつの関数f(x)として捉えることができます。ひとり1人は個性があり、独自の判断をする人であっても集団としてみれば安定した入出力装置であります。ここで鍵を握るのはマスコミの情報です。それも選挙開始よりずっと以前にマスコミが流した情報が候補者のイメージを決定し、それが支配的であろうと思われます。

 余談ですが、そのように考えると今回の都知事選挙では御年76歳の鳥越俊太郎氏がかなり有利であると考えられます。鳥越氏は自ら「ちょっとアホな人間です」と自己紹介されています。ちなみに「鳥越俊太郎」と「アホ」で検索すると195万件もヒットしました(すべてが鳥越氏をアホとしているわけではありませんが)。アホという評判の高い人物なのでしょうか。最近の会見でも意味不明な発言が話題になりました。そしてさらに高齢になられると、痴呆のため業務遂行不能なんてことが起きないとも限りません。そうなれば前代未聞の事態です。そうはならなくても知事としての勉強、学習ができるのでしょうか。

 鳥越氏は、2年ほど前のNHKスペシャル「ニッポンの平和を考える 集団的自衛権の行使容認は?」(抜粋)に出演されていました。なぜか自信たっぷりで説明する鳥越氏の発言には、見識の偏り、論理の弱さがよく表れています。討論相手の岡本行夫氏らとの対比が鮮やかです。ついでながらNHKの三宅司会者の司会にはがっかりしました。他に有能な人がいないのでしょうか。

 知事を選ぶシステムを変えるのが有効ですが、それは形式的な民主主義者が多いため簡単ではありません。現状においては、せめてテレビは候補者の討論会を何度も実施すべきでしょう。優れた司会者の下で都知事に限定したテーマを長時間討論させれば出るべきところからはホコリもボロも出るでしょう。泡沫候補が入れば人数が多くなりすぎるので、小規模な世論調査でもして、「落選確実」の方には出席を辞退してもらうとか、いろいろな手があると思います。とにかく選挙結果を左右するのはマスメディアであり、彼らにはまともな情報提供の責務があると自覚していただきたいものです。そして一か八かの不確実な選出方法にも疑問を感じていただきたいものです。