噛みつき評論 ブログ版

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野党百害、メディア百害

2018-10-14 21:47:13 | マスメディア
 塩野七生氏によると、ローマ皇帝の国民に対する最大の責務は「安全」と「食」の確保であるという。現代では防衛と経済である。これはいつの時代でも国の基本であり、最も重要なことなのだが、果たしてそれにふさわしい関心が払われているだろうか。

 津波のような自然災害でも百年も経験しなければその怖さを、その存在さえも忘れる。百年も続くとそれが永遠に続くものと思いやすい。70年の平和も同じ効果をもたらすのだろう。周囲の国が核やミサイルを持ち、海空軍力を急速に強化し、戦争の準備に精を出していても、対岸の火事のごとくある。防衛の必要がない国であっては軍事力は戦争か軍事的恐喝以外に使い道はない筈である。

 我が国は食料6割とエネルギーのほとんどを海外に依存しているから、海上輸送ルートは極めて重要である。しかし数隻の敵潜水艦で輸送ルートが壊滅する脆弱性をもつ。政府はインドやオーストラリアと軍事的な連携を強めていると小さく報道されているが、中国包囲と共にこれはシーレーンの防衛という意味があるのだろう。

 しかし、こうした防衛の問題に対し、野党とメディアの無関心は甚だしい。 ただ防衛力強化に反対の意思を示すことだけはある。地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」にだけは強い反対の意向を示した。これは中国のミサイルにも有効であり、中国の国益に沿った結果となった。どこの国のメディアなのかわからない。しかし一般に野党もメディアも防衛力の強化に積極的な関心がを示すことはない。

 また、経済では所得格差、資産格差が大きな問題となっている。「たったの62人」の大富豪が全世界の半分の富を持つ、あるいは世界の金持ち8人の資産と下位36億人のそれが同じとか、言われている。富裕層は経済だけでなく政治的な力をも持つようになり、格差はさらに拡大するとも言われている。この格差の大きさは古代の王国の時代を思い出させる。実質的な平等や機会均等はなきに等しい。この解決は難しいが、将来に向けての実に重要な社会問題である。

 以上、政治における重要な問題の例を挙げた。しかし野党とメディアにとってはこんなことはどうでもいいらしい。もっともっと大事なものがあるようだ。1年半にわたって騒いできたモリカケ問題である。政権の監視も結構だが、そればっかりで国会の機能を麻痺させては弊害の方が大きい。本来なら中国や北朝鮮の軍事力増大にたいして核の保有で対抗するとか、空母を作るとかの議論をしなければならない。そのような議論が堂々となされれば相手への牽制になるし、軍拡競争に陥る危険を、その愚かさを知らせることになる。つまり議論だけでも抑止力となる。このまま放置すれば軍事的劣勢を招くかもしれないが、それが平和を脅かすことは歴史が示すところである。

 「野党百害」は新潮45の最終号に載ったタイトルだが、よくできたタイトルである。