Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

腕は壁の方へと靡く

2006-09-13 | 試飲百景
グランクリュとかプリミエクリュは、ドイツワインの今後を占う新たなカテゴリーである。ドイツ語でこれをグローセス・ゲヴェックスとかエルステス・ゲヴェックスとかと言う。フランスのそれのように地所が秀逸なことを示すが、根拠となるのはバイエルンやプロシアの徴税のための収穫率に応じた19世紀の土地単位辺りの収穫ランキングに準じている。

つまり、現代においてはそのような伝統的に収穫を望める地所で、いかに収穫量を減らして、質の高いワインを収穫できるかが狙い目となる。

春の試飲会でオーナーと昨今の状況についてお話したが、同醸造所のラインナップにはその手のワインが無かったので、もちろん遠慮して口にはしなかった。小規模生産でドイツ最優秀と誉れ高い醸造所の質に拘る高級リースリングのイメージを今後も如何に維持して高めていくか、他人事ながら内心気になっていた。

そして今回、初めてそこのグランクリュワインがお披露目と相成った。先ずは、それを試してみて安心した。そのワインの傾向は他のカビネット類と同じであるが、期間が経てば大変興味あるワインに熟成するだろう気配があった。

反対に、2005年のリースリングはエキスが凝縮しているため、熟成するのに時間が掛かっている。春に試飲したキャビネットの軽めの地所からのワインは今やっと飲めるような感じである。期待して狙っているワインは、醸造親方に尋ねると、まだ半年ぐらいは開いてこないだろうと洩らした。

こうした遅咲きのリースリングは一般的に長持ちをして大きな成長が期待できる。一般客相手の商売としては大変効率の悪い方法かもしれないが、業者は喜んで買い付けるだろう。比較的廉めの値段設定から偉大なワインが期待出来るときは、買い付け人の腕の見せ所である。

一時間前に予約も無しで入場させてもらい、オーナーや醸造親方に「素人には先行投資は辛い」とか歯に衣着せぬ言いようをして、結局最後まで居座ってしまう。よくお見かけするその世界の御仁にも紹介されて、他の事に気を取られながら水を飲もうとすると、初めてのことにグラスを落としてしまう。妙齢のご婦人がすばやくやってきてちりとりと箒ですかさず掃除してくれる。

2005年産 ブロイメル イン デン マウエルン 
アルコール13.5%、残糖6.28g/l、残酸7.2g/l、収穫50hl/ha

そしてグローセス・ゲヴェックスのブルガーガルテン内の場所について、様々な可能性から検討して特にそこをグランクリュに選んだと詳しく教えて貰う。清楚な表情に思わず見とれ、指し示す腕に誤ってふれて、あら失敬などといいながら、いそいそと辞去する。

業者がこれを全て買い取る事から本日限りの予約購入しか出来ないので、とりあえずたったの三本だけに先行投資をする。早速、帰りにその地所を見学する。名の通り一段と上がったその土地の土手となる壁が在るのだ。カメラを持って近々再び撮影に行こう。

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