山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。
と思っていたけど、もうそんな年齢じゃなくなってきた。

北京で買ったパンダの湯のみ

2005-09-14 22:27:15 | 未分類過去
何年か前に家族で北京に行った。日本語学校は中国人の学生が多く、中国に関心をもったからだ。日本で売られている中国製のものは安い。それで、中国に行ったらいろいろ安い物が買えるんだろうと思ったのだが、ガイドさんが連れて行ってくれるところは、どこも高級品ばかりでとても高かった。シルクのスカーフが1万円近くしたり、お茶なども何千円もしていた。何でも数千円を下らずもっと高いものも多い。

日本人をどんだけお金持ちだと思っているんだろう。夫はホテルにこだわる人で、一番高級なホテルのコースにしていたために、お金持ちだと勘違いされたのではないかと思う。
店の人に勧められるたびに「高いですねえ。こんな高いものはふだん日本で買ったことがありません。とても買えませんよ。」と答えて、どこも見るだけですませた。

そんな中で、お茶を試食するところに連れて行かれ、いろいろ飲み比べたりしているうち、店の人が赤字で「北京」と書かれた青い湯飲みを出してきて、そこにお茶を入れて見せた。すると、北京の文字と青い部分は見る間に消え、代わりに笹の中を歩くパンダの絵が浮き出てきた。温度に反応して変わるのだそうだ。値段は一個千何百円かしたような気がする。以前上野の科学博物館で買ったマンモスのコーヒーカップは700円くらいで、お湯を入れるとマンモスの体が骨に変わるものであった。それよりかなり高いなと思いつつも、パンダの絵はもっと色がきれいだし、このくらいは記念に奮発しようと思って2個買った。

日本に戻ってきて、その湯飲みを2~3回くらい使ったある日、皿洗いの嫌いな私はしばらく他のものと一緒にその湯飲みを水の中につけておいた。数時間後、湯飲みを洗おうとしてぶったまげた。青地に北京の赤い文字が妙にゆがんでいる。どうしたことかと思ってみると、なんとはがれて破れている。そのとき初めてそれは湯飲みに描かれたり焼き付けられたりしているものではなく、単にシールのようなものが貼り付けられてあったのだとわかった。

ひとつはそうやって見るも無残にはがれて取れてしまい、あとに残ったのは真っ白で単純な湯のみだった。簡単に水ではがれるようなものが貼り付けてあっただけと知りすごいショックだったのだが、もう一個のほうは、はがれかかったのをそっともとに戻し、はがれないように大切に食器棚にしまっておいた。

今から数ヶ月前のある日、夫は会社の健康診断で検尿をしたところ、血尿でひっかかった。目には見えないけれど血液成分が入っているとのこと。夫はそういうことには恐ろしく敏感で、即自分で近所の病院に診察を受けに行き、さらに薬局から尿の検査紙を買ってきては、排尿するたびにリトマス紙のようなものを自分の尿につけて色が変わったかどうかなどと点検していた。結局、健康に異常はなかった。
ところで、そのときに夫が信じられない行動を起こしたのである。紙コップがないかと食器棚を探していた夫は、その北京の記念の湯飲みを取り出して、トイレに持って行って、その中に放尿したのだ。夫の言い分では、「中国人にだまされた。こんな偽物はいらないだろう。こんなもの、ションベンを入れるのにちょうどいい」と言うことである。

中国人はシールではないとは言わなかったのだから、こっちが勝手にシールじゃないと思いこんでいただけだった。貼り付けてあっただけなのはショックでだまされた気分だったが、私には記念の湯のみだった。
しかし、夫はもともと欧米が好きな人間で、本当は中国には興味もなく行きたくなかったらしい。夫は中国がきらいなんだと思う。

今、その湯飲みは、トイレの片隅に置きっぱなしになっている。
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