山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。
と思っていたけど、もうそんな年齢じゃなくなってきた。

さよなら怪傑黒頭巾(庄司薫)

2012-06-16 09:56:42 | 読書
「さよなら怪傑黒頭巾」を読んだ。後半はかなり感動した。

兄の友人の披露宴での妙な空気については、学生運動が行われていた時代のそれぞれの立場、立ち位置、その表明のし方、世の渡り方、そこから発生するうやむやな態度が、なんとなく理解でき、その場面が想像できるような気がした。
実際、私は学生運動の時代よりずっと後の世代なので、その頃のことはよくわからないのであるが、あの時代はいったい何だったのだろう。
しかし、紛争のただなかで活動していた人たちも、結局のところ、普通に家庭を持ち、生計をたてるため、あるいは普通に世間に役に立つ仕事を持ち、平凡な生活をして行かなくちゃならない。そういう人が、一種の裏切り者のように受け取られてしまう状況。
時代は過ぎ、年もとって、裏切りものは次々に増えていく。

そんな政治的な社会問題的なことではなくても、大人の男が生きて行くには、いろいろと複雑なことがあって、結局日常は「まいったまいった」ということで、受け流しながら日々を対処していく。
男たちは、いつどこにいても兵士のように戦い続け、大きな流れに押し流されて行くのだ。

まだ、これから大学生になるという段階の薫君は、そういう世界を垣間見て、自分がまだ幼いことを感じつつも、すでにその世界に足を踏みれようとし、自分の未来の姿を悟っている。
それは、女の子と付き合い、女性の想いや悩みにもつきあっていくことも同時進行であることを意味する。

一言で言えば、大人になることはそういうことで、人生とはそういうことだということだ。
「そういうこと」とはどういうことか。それが、この作品に描かれていて、それを一言で言えるくらいなら、小説はいらない。

この小説を読んで、そうなんだ、そういういうことなんだ、と昔を振り返り、納得し、そして、若者も大人も男も女も、いろいろと複雑で疲れるし大変なんだけど、それでも楽しいこともあって、東京の街のように、ごたごたといろんなものがひしめいているけど、それでもものすごく美しく見えることがあるのと同じように、人間も人生もそうなんだ、となんだか泣けてしまった。

一言で言えば、「いい作品だった」。カタルシスだ。
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買うばっかで溜まる本

2012-06-16 00:27:31 | 読書
18歳のときに読んだはずの庄司薫の本をもう一度読もうとしている最近。
ところが、どうも食いっちらかしっぱなし。
まず、実家にあった「狼なんか怖くない」を読み始めたら、以前の著書を読んでないと意味がわからないことがわかり、たまたま1冊だけ売っていた「さよなら怪傑黒頭巾」を買って読み始めた。軽くて読みやすく、薫君が披露宴に出席のあと、2人の女の子と神社にお参りに行ったところまでは読んだ。

さて、明日は雨らしいということがわかり、それでは自宅で読書三昧にしようと思いたち、かねてから気になっていた「赤頭巾ちゃん気をつけて」を本屋で探してみた。
「さよなら怪傑黒頭巾」を買った店では、最初からそれだけしかなかったので、その後入荷されることもなく、庄司薫の文庫本はなかった。
もう1軒行ってみると、新潮文庫の棚には、やっぱり1冊もなかった。平置きになっている新刊のところにも無かった。
これらの本屋は、カードで5%引きになる店と、ポイントカードがつく店であった。
しかたなく、何の割引もないが、3冊がそろっている店に向かった。本は以前から売れた形跡もなく並んでいた。
「白鳥の歌なんか聞えない」はちょっと厚い。思えば、どうして送り仮名が「聞こえない」ではないのだろうか?さらには「聴こえない」と書くべきでは?等と思う。
「赤頭巾ちゃん~」と2冊をまとめて買った。
この本屋は、しょっちゅう立ち寄っているのだが、1度も買ったことがない。なんとなく、店の人に悪いな~という気がしていた。せっかく読みたい本が揃ってるんだから、たまには買ってあげよう。というわけだ。

帰宅して「赤頭巾ちゃん~」を読み始めた。こんなの全く読んだ記憶がなかった。薫君がテニスコートに行ったところまで読んだけど、思い出す場面はなかった。
そして、なんか、この薫君口調の軽い文体にちょっといらだってきた。もしかして「飽きる?」
しかし、こんなにまとめて買っちゃったんだから、読まないとダメだ。あとは、「ぼくの大好きな青髭」だけがないだけだ。

それにしても、日比谷高校の男の子なんて、今読むとムカつくやつである。なんか純粋無垢みたいなおぼっちゃま風で、「悪名高き日比谷」なんて言ってるけど、所詮は超エリートではないか。かなり鼻につくけど、本代もったいないし、まあ、とりあえず読むしかないわ。
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