1972年
南海のウィリー・スミス外野手(33)が三日、東京球場で行われたロッテ戦にワン・ポイント・リリーフで初めて登板した。左打者アルトマン封じ策で野村監督がうった思い切ったさい配だが、こんごも左打者にスミスをワン・ポイント・リリーフで使う方針だ。
スミスをレフトから呼んでアルトマンを押えニヤリと笑う。スミスも笑ってレフトへ帰っていくー。このシーンがロッテに勝つ一番手っとり早いやり方だと野村監督は思った。スミスは開幕前からピッチングをつづけていた。「お前はアルトマンを押えるんだよ」といい渡したのはもう一週間も前のこと。投げていた佐藤道は昨年、大阪球場でアルトマンにバック・スクリーンに打ち込まれている。野村監督の頭の中からその手痛い一撃がはなれない。「ミチ(佐藤道)アルトマンのときはレフトやで」と救援する前にいい渡している。「避難させられてチクショウと思ったかって?そんな余裕はなかったな。レフトにフライがとんでくるな、と思っただけですよ」苦々しい表情でベンチを出てきた野村監督。「外にはずせというたんや。なのに真ん中に投げてきよった」西岡が有藤に打たれた、たった一球ですべては終わり。だが、スミスについては決して悲観していない。「オレが間違っていた。アルトマンは初球は打ってこないと思うたんや。ど真ん中の球やった」右前に打たれたことについてもちっともこだわってない。「ストライクがこないのではないかと心配したが、見事なストライクがきたやないか。大したもんや。これからもワン・ポイントでどんどん使っていく」とキッパリいった。大リーグでは、エンゼルスで2勝4敗。もう八年近くも前のことだが、救援投手としての実績を持っている。左腕投手は村上雅一人だけ。その村上はまだ本調子でなく苦しいチーム事情だ。江藤、ロペスが抜けたといっても、まだまだロッテ打線はこわい。とくにせまい東京球場でのホームラン。中でもアルトマンの一発には神経をとがらせている。スミスも重い責任を負わされていることはよく理解している。「外側へ投げるつもりだったのに、甘かった。もう少し投げてみたかった。一球投げただけだが、これからの自信にはなった。ワン・ポイントは、去年の3Aのシラキュースで何度もやっている。あとは外野手から投手への頭の切り替えだけだ」という。ロッテ・大沢監督はこの場面を面白い野球の演出としか考えていない。「面白い野球もけっこう。でも、打たれちゃなあ」野村監督には面白い野球をやる余裕はない。ただ、勝つ野球だけを目ざしている。
南海のウィリー・スミス外野手(33)が三日、東京球場で行われたロッテ戦にワン・ポイント・リリーフで初めて登板した。左打者アルトマン封じ策で野村監督がうった思い切ったさい配だが、こんごも左打者にスミスをワン・ポイント・リリーフで使う方針だ。
スミスをレフトから呼んでアルトマンを押えニヤリと笑う。スミスも笑ってレフトへ帰っていくー。このシーンがロッテに勝つ一番手っとり早いやり方だと野村監督は思った。スミスは開幕前からピッチングをつづけていた。「お前はアルトマンを押えるんだよ」といい渡したのはもう一週間も前のこと。投げていた佐藤道は昨年、大阪球場でアルトマンにバック・スクリーンに打ち込まれている。野村監督の頭の中からその手痛い一撃がはなれない。「ミチ(佐藤道)アルトマンのときはレフトやで」と救援する前にいい渡している。「避難させられてチクショウと思ったかって?そんな余裕はなかったな。レフトにフライがとんでくるな、と思っただけですよ」苦々しい表情でベンチを出てきた野村監督。「外にはずせというたんや。なのに真ん中に投げてきよった」西岡が有藤に打たれた、たった一球ですべては終わり。だが、スミスについては決して悲観していない。「オレが間違っていた。アルトマンは初球は打ってこないと思うたんや。ど真ん中の球やった」右前に打たれたことについてもちっともこだわってない。「ストライクがこないのではないかと心配したが、見事なストライクがきたやないか。大したもんや。これからもワン・ポイントでどんどん使っていく」とキッパリいった。大リーグでは、エンゼルスで2勝4敗。もう八年近くも前のことだが、救援投手としての実績を持っている。左腕投手は村上雅一人だけ。その村上はまだ本調子でなく苦しいチーム事情だ。江藤、ロペスが抜けたといっても、まだまだロッテ打線はこわい。とくにせまい東京球場でのホームラン。中でもアルトマンの一発には神経をとがらせている。スミスも重い責任を負わされていることはよく理解している。「外側へ投げるつもりだったのに、甘かった。もう少し投げてみたかった。一球投げただけだが、これからの自信にはなった。ワン・ポイントは、去年の3Aのシラキュースで何度もやっている。あとは外野手から投手への頭の切り替えだけだ」という。ロッテ・大沢監督はこの場面を面白い野球の演出としか考えていない。「面白い野球もけっこう。でも、打たれちゃなあ」野村監督には面白い野球をやる余裕はない。ただ、勝つ野球だけを目ざしている。